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それからあたしが脚本を書いて
竜雅くんがチェックという役回りになった。



客観的な視線が入るのはとてもありがたい。
要らんと思って切った場面を入れなければ話が分からなくなったり
逆にあたしの脚本の中で要らないと言われたシーンもあった。



だがあたしも竜雅くんの意見を何でも聞いてるわけではなく
女目線でここは欲しいと思ったところの主張はしている。
そうやって折り合いをつけてだんだんと完成が見えてきた。



授業そっちのけで添削してるから、数学以外の授業も
何言ってるか分からんくなってきてるけど。
小瀧に良い脚本届けなあかんからしゃーない。



休み時間との境目もなくなって、あたしが見るものは原稿と
美女と野獣関連の情報、それと竜雅くんでいっぱいになっていた。



「なぁ竜雅くん、ここ直したんやけどどう思う?」


「竜雅くん。ここやっぱ見せ場やし…」


「竜雅くんこれさちょっと変えた方が分かりやすいかな」


『なーぁ!』



後ろのイケメンが大きい声出すからびっくりした。
何やと思ってそっちを見れば小瀧が頬を膨らませている。



何やねん可愛いことすんな。今あたしはあんたのためにやな、



『さっきからずっとつんつんしてんのにっ!
全然気づかんと竜雅くん竜雅くんってむかつく』


「小瀧ビッグベイビーモードや。
Aさんが話したらな治らへんわ」



後ろから重岡が補足説明してきた。
なんやビッグベイビーモードって。
確かに赤ちゃんみたいやけど。



『頑張ってくれてんのは分かるんやけど、
俺Aさんとお話したい!』



小瀧の視線は微妙にあたしからズレている。
ズレている先は……竜雅くん?



え、な、なんか…火花散ってませんか。
竜雅くんもさっきと全然違う目つきなんやけど。



竜「Aさん、一旦休んでまた放課後やろ。
小瀧が話したいらしいから」


「あ…うん」



握りしめていたシャーペンを素直に置いて小瀧の方を向く。



両者共にまだ火花を散らせていたから、目だけで重岡に訴えた。



「小瀧。もうそんな睨まんと。休み時間終わるで、
Aさんせっかく向いてくれてんのに」



重岡って、小瀧のコーチ兼保護者?

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作者名:カジャ | 作成日時:2022年9月12日 21時

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