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※阿芙蓉(あふよう)
明の時代にあった最古の阿片(アヘン)。
この時は瀉痢止め(しゃりどめ)つまり下痢止めとして処方されていた。
それが日本に伝来し、ベニテングタケが「調合を変えれば興奮剤として使える!」と領内で売りさばいていたという設定です(なおこれらは全てこじつけです)
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組頭「そうだ。明からベニテングタケが取り寄せていたらしい。阿芙蓉に使われているケシの実の汁を取って加熱すると、不思議な薬になるらしい」
A「どう不思議なんです?」
組頭「夢の中にいるかのような多幸感が味わえるのだという。怪我の痛みも消え、生きながら極楽を味わう、とまで言われ、使った者たちからは『往生薬(おうじょうやく)』とまで呼ばれている」
往生薬、と呟きながらじっと粉を見つめる。
ケシは高価だが手に入らなくはない。
むしろある程度金のある人間なら買えるし栽培できてしまう。
A「薬には必ず副作用があるものです。使い過ぎれば毒になることもあります」
組頭「その通りじゃ。一度薬が切れると次が欲しくなり、それを繰り返せばいつしか狂う。
賢い者も阿呆になり、考えることも覚束なくなる。
依存性の極めて高い、極上の甘露に見える猛毒だ。
ベニテングタケはそれを兵に与え、領民にも売りさばき、金が溢れている。
今回攻めてきたのも、その金あってのことじゃろう」
賢い者も阿呆に………。
A「!では、今回ベニテングタケが安易に忍び里に兵を進めているのは、もうベニテングタケには知者が絶えた、ということでしょうか」
組頭「うむ。ベニテングタケへ行っていた者たちがいうことに、もう“まとも”な人間は、金がなく往生薬に手を出さなかった百姓くらいしかおらんそうだ。
城下も城も、薬に飲まれておる。
強すぎる薬は、城をも落とす。
あれが広まることは避けねばならん。
全て焼き払い、ベニテングタケを完全に断つ。
ただし、実験を終えてから、だが」
怪しい光が組頭の目にあった。
膝においていた手が少し震える。
A「………その往生薬、私に調べよ、と」
組頭「ベニテングタケの兵を数人生け捕りにし、牢につなぐ。其奴らを使い、薬を他に使えぬか調べろ。何度摂取させれば死ぬのか、もじゃ。
手に余るものならば、全て焼き払う。
往生薬の存在ごと消す。
………“それ”は、この島国すら腐らせる猛毒だ。ベニテングタケの二の舞だけは避けねばならん」
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みずけい - すごい…お上手ですね!絵も作品も設定も!とても面白いです。尊敬しちゃいます (1月6日 16時) (レス) @page26 id: 56c1fb1e39 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 涙さん» ああ!!すみません変換完全にミスりました!ありがとうございます! (2019年10月13日 19時) (レス) id: 31c0208f5b (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 92話祝元になってますよ? (2019年10月13日 19時) (レス) id: 5e09944bd4 (このIDを非表示/違反報告)
彼は誰時 - 最近、組頭に沼ったのですが…ここが楽園か……最高です!まったり更新待ってます! (2019年10月13日 19時) (レス) id: fd426a3898 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 名無し65455号さん» ありがとうございます!ミスってました直しときますね! (2019年9月17日 15時) (レス) id: 14131fd91c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:乾 巽 | 作成日時:2019年8月17日 11時