黄昏の契り２【忍たま乱太郎】【雑渡昆奈門】

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高坂「尊奈門！逆茂木くらい二本まとめて運べるだろ」
諸泉「無茶言わないで下さいよ！どんだけ身長も腕力も違うと思ってんですか……」


一本ずつ逆茂木を担いで運んでいる尊奈門君に高坂さんが文句を言う。
その横を通っていくと思わぬ流れ弾に被弾した。


高坂「Aを見ろ！女なのに二本運んで、しまいには走ってるぞ」
A「人を馬鹿力みたいに言わないで下さい！ただちょっと腕力には自信があるだけです！」


走ってるのだってつんのめって走る方が楽だからって理由だし。


諸泉「力持ちですね……私だって」
A「やる気出させる出しにしないで下さいよ、高坂さん」
高坂「わるいな」


随分逆茂木も並んできた。崖の下に一列だけ並べてある。手ぶらで戻るときに握り飯を受け取り、歩きながら食べる。


A「一列だけで、いいんですか？」
雑渡「うん。ここは崖とはいえ馬が駆け昇れないほどじゃない。上手い騎手なら駆け上がってくる。
逆茂木は馬の足止め用だ。
逆茂木を並べ終わったら、竹の切り出しに回れ」
A「竹槍用ですか？」
雑渡「いや、節の両端を残して切ったものを逆茂木に括り付けておく。竹は燃えやすいから。
両端を残した竹の中には空気が入っている。それを燃やせば空気が膨張し竹が破裂する」


それに思い当たる忍具があった。


A「あ、分かりました。百雷銃に近いものですね」
雑渡「正解。百雷銃みたいに火薬を仕込むのはもったいないからしないけどあれでも充分驚くだろう。完全に密閉された竹は勢いよく飛び散るから近寄らないようにね」


※百雷銃(ひゃくらいじゅう)
竹の中に火薬を入れ、導火線で繋いだものに火をつけ、火縄銃の一斉射撃と思わせて怯ませるもの


雑渡「逆茂木が火に弱いのはどこの軍師も知っている。火を放たれるのを見越して竹を仕掛け、逆茂木の火が消えるまで時間を稼ぐ。
さらに絶対に登って来られないようにする為に、柵を倒しておく」
A「……柵を倒したら侵入されてしまいません？」


柵は立てておくものだろう。


雑渡「ねずみ返しと同じだよ」
A「ねずみ返し……ああ、成る程。崖から柵を出しておくんですね」
雑渡「柵には火をかけられても大丈夫なように、水をたっぷり含ませる。あとはこちらは落ちていく相手を射るだけでいい」


話を聞きながら畏怖した。
この里は本当に忍びの里なのだ。
地形は攻めにくく守りやすいうえに、戦法をよく理解した者が８０人越えで防衛する。

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