黄昏の契り２【忍たま乱太郎】【雑渡昆奈門】

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INタソガレドキの忍び里


狼隊の若手の一人が、自身の報告書をしたためながらもしきりに雑渡の方を見て涙目になっている。
雑炊を啜りながら片手間にぽんぽんと報告書に判を押す雑渡に、山本は呆れたように注意した。


山本「食事くらい仕事から手を離してして貰えないと。作った奴が不憫ですよ」
雑渡「ズズズズズズ(雑炊を啜る音)」
山本「聞こえないふりしない。繁忙期で食事の時間がとれないほど忙しいわけでもないのに、そんな片手間に食べられたら可哀想でしょう」
雑渡「だってさ、心配で心配で。Aは卒業したばっかりだし、尊奈門はまだ経験も浅いし」
山本「高坂がついてるでしょう。心配しすぎです」
雑渡「心配したっていいじゃない」
山本「Aさんが心配して欲しいと思っているとは思えませんが？」


さらり、と言い放った山本に雑渡は文机に突っ伏してだらける。


雑渡「だってさ、恋ってこういうことでしょ？
要らない心配までやきたい。
恋してるんだよ？楽しくない？」
山本「見てる側は楽しくないですね。
ーーーーーーーそれにしても、随分変わられましたね」
雑渡「どこが？」
山本「いえ、彼女に会うまでとはまるで別人のようでしたので」
雑渡「前の私ってどんな風に見えてたの？」
山本「そうですねえ………」


飲みかけの茶を淹れなおしながら山本は話を始めた。


山本「あ、判子は押しながら聞いてください」
雑渡「ちゃんとやるから」
山本「私は小頭が子供の時は、小頭のことを生意気で絶妙に腹の立つ子供だと思ってました」
雑渡「初っ端から酷くない？」
山本「大人をくったような物言いでしたからね。そのうえ優秀となれば腹も立ちます。
それでも里中の子供の憧れになってましたが。案外子供好きなことが分かりましたね。
火傷を負ったあとは、来るもの拒まず去る者追わず、という感じでした」
雑渡「こんな見た目じゃ子供らに怖がられても仕方ないし。執着心は減ったかもね」


側に来て欲しい。
同じように話したい。
だから来るものは拒まない。
けれど。
怖がられても仕方ない。
嫌がられても仕方ない。
だから去る者は追わない。
半端諦めたように、人に対する執着心は薄れる。


山本「執着してるでしょう、Aさんに。
他人に無関心な貴方が執着する相手を見つけた」
雑渡「………執着してるよ。
陣内も陣左も、尊奈門にもAにも皆。
執着してるから、いつも頼りにするし我儘を言うんだよ」
山本「かまってほしいんですね」

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