初恋の記録 ページ35
これは、私が生きていた頃の過去の記録だ。
_______夏休みが明け、新学期となった教室へ新しく席を置くことになった少女がいた。校長室で先程引き合わされたばかりの担任と転入生は、廊下を歩いていた。
「七三A、だな。
俺は担任の土籠。担当教科は理科。分からないことがあれば何でも聞け。学校生活のことならなるべくクラスの奴に聞いた方が馴染めるだろうが、無理なら…」
「大丈夫です」
素っ気ない、愛想のない端的な返事をされ、土籠は面倒な性格がきやがった、と内心思ったことだろう。
残暑厳しい９月だというのに、冬の制服を着て足音を立てることなく歩く少女は長い前髪も合わさって幽霊のようだった。
いたって普通に教室へ入り自己紹介をし、それなりに物珍しげに質問攻めを受け、次の日には溶け込んでいた。
多少忘れっぽく、マイペースなのを除けば成績もそれなりに良く、素行も品行方正な模範生だった。
時々ぼんやりしているのが目についたが、クラスメイトとの関係も悪くはなく、１人気ままに過ごしているように見えた。
三年になったある日の放課後、土籠が理科準備室に仕舞い込まれたホルマリン漬けの標本を移動させるのを誰か暇な奴に手伝わせようと教室を覗き込むと女子生徒が１人、ぼんやりと座っていた。
「七三、今手ぇ空いてるか？」
「____土籠先生。はい、暇ですけど」
「ちょっと手伝ってくれ」
「はい」
瓶を運び、配置を変えていると異変が起きた。
少女は、じっと豚の心臓のホルマリン漬けが入ったボトルを見つめていたのだ。
食い入るように、はたまた傍観しているように、手足を働かせながらも視線だけがずっとそれを見つめている。
「…気になんのか？心臓」
「はぁ…まぁ」
その心臓を、抉り出された自分の母のものと重ねたのか、自分が突いた心臓と重ねていたのか、知るよしはない。記録されているとはいえ、本には細かい感情の機微は書かれていないのだから。今となっては本人でも思い出せないだろう。
そして唐突に、核心をついた言葉を発した。
「土籠先生って、学校に住んでたんですね」
「…おぅ」
土籠も驚くことはなかった。先に本で知っていたのだから当たり前だ。
何故そう思ったのか、と問えば、車が無いこと、帰宅する姿も登校する姿も見ることがないこと、何より図書館でどこかへ入っていったのを見ていたこと。
まぁどれも土籠にとってはすでに知っていたから驚く必要もないことだ。
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ほのか - やばい。私の好みにどんぴしゃり！ (2020年8月4日 9時) (
レス) id: ef884c23cc (このIDを非表示/違反報告)
?返事がない、筆記試験終了の安心で寝ているようだ(プロフ) - ひえっ、めっちゃ細かく考えられてる、すげぇ… (2020年2月15日 8時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
すばる - 乾 巽さん» ですよね!!うぅ〜......土籠先生... (2020年2月5日 17時) (レス) id: f38b18c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - すばるさん» そうなんですか…いきなりログインできなくなる系困りますよね (2020年2月2日 17時) (レス) id: a83f0b56fb (このIDを非表示/違反報告)
すばる - 乾 巽さん» わああ!!ありがとうございます!!!それがですね、設定ってどこぞや?と思って血眼で探したらログインしないと出てこない系でした...Wii Uなんで、前ログインできてたんですけど何故か去年の夏からログイン出来なくて...ぴえん(；ω；) (2020年2月2日 17時) (レス) id: f38b18c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乾 巽 | 作成日時：2020年1月19日 11時
