367 ページ9
◇
聞こえてきた歌声にAとエースは窓の方を向く。
「えー、まさかあんだけレッスンしたのに自主練してる人いんの？」
『この声は、カリム？』
Aはベッドから立ち上がり歌声が聞こえてきた窓の外を見ると、外には1人練習するカリムの姿があった。
「カリム先輩って努力する系の人だったっけ」
『……カリム、実は悔しかったのかも』
「悔しかった？」
『今回メインボーカルに選ばれなかったでしょ？ 今までカリムは自然と主役に選ばれてたからこんなこと初めてなんじゃないかな』
「あー、今まではジャミル先輩が譲ってた的なね」
『うん。この合宿でみんな成長出来たらいいね』
「オレは暑苦しいのはパス。ま、ヴィル先輩に目ぇつけられない程度にほどほどにやるけど」
『エースってばもう……って、近すぎない、かな』
首だけで振り返ればエースがAを閉じ込めるように窓枠に手を置いて真後ろに立っていた。その近さにAは戸惑う。
ハロウィーンとホリデーあたりから妙にエースの距離が近い気がする。
「オレとAならこんくらい普通っしょ」
『そ、そうなのかな』
「そうだって。あ、後でさ一緒に良いことしようぜ」
『良いこと？』
なにかを企んでいるような笑みを浮かべたエースは上機嫌でAを囲んでいた腕を退ける。良いこと、とはなんだろうとAは首を傾げた。
「そ、良いこと。みんなが寝たら迎えにくるから寝ずに待ってろよ」
『うん、わかった』
「んじゃ、あとでな」
頷くAに満足そうにエースは目を細めて笑うとAの頭を撫で部屋を出て行った。
Aはカリムの様子を窓から見守っているとカリムの元にユウたちがいることに気がつく。
『ユウくんたちがいてくれるなら大丈夫そうだね』
カリム、頑張って。Aが小さな声で呟くとカリムがAのいる方を向いた。そしてにかっと太陽のように明るい笑顔を向けて大きく手を振った。
カリムたちには聞こえないと思っていたAは驚きながらも笑顔を浮かべて手を振り返した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1419人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ここ(プロフ) - 蘭さん» 蘭さまコメントありがとうございます！(*^_^*)嬉しいお言葉すぎて何からお礼をお返しすればいいのかわかりません（笑）愛され夢主ちゃんなので存分に愛されてもらってます〜^_^Twitterのフォローまで…！重ね重ねありがとうございます…！ (2021年3月18日 21時) (
レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - わぁー！！凄く面白いです！！最初から全部読みました！！！もう本当にどのキャラクターも大好きです！そして夢主ちゃんが羨ましい〜(笑)Twitterもフォローさせていただきました！！ (2021年3月18日 20時) (レス) id: abaf78baee (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - kさん» 早速読んでくださりありがとうございます(*^_^*)kさん正解です〜♪Yとは監督生のユウくんでした^_^ (2021年3月11日 18時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
k - 考察のお話ありがとうございます！！最初Yの考察で誰だY...と思ったのですがもしやしなくても監督生君ですね！？ (2021年3月11日 17時) (レス) id: e4b21374ad (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - ユノさん» ユノさんコメントありがとうございます。オチに関しては以前ご協力をお願いしたアンケート結果や、今後の展開によって考えていきたいと思っております^_^2回目のアンケートをお願いする場合もありますので、その時はまたご意見をくださると嬉しいですっ。 (2021年3月5日 20時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ここ
| 作成日時：2021年2月19日 14時
