◇ ページ26
◇
『あなたは、タコの人魚？』
「そうですよ。あなたは……なんの人魚ですか？」
『私は……秘密、かな。はい、これ』
くすくすと笑いながら少女は散らばった海草をアズールへ差し出す。
『それじゃ、私行くね』
「あ……待ってください」
『ん？』
「あ、その……ええと……」
海草を受け取ったアズールは無意識に彼女を引き止めていた。
振り返った彼女に引き止めた理由を探すがその美しい瞳に見つめられると何故か言葉が出てこない。
「あ、あなたのような美しい人魚が人間に捕まっては大変です。僕がお送りしましょうか」
アズールは顔を赤らめながらなんとかそう告げる。
『ありがとう。でも大丈夫だよ、すぐ近くから来てるの』
「そう、ですか……」
『あなたの気持ちとても嬉しかった。あなたも気をつけて帰ってね』
ばいばい、と手を振り背を向けて泳いでいく彼女の後ろ姿をアズールは見えなくなるまで見送っていた。
◇◆◇◆
時は流れること数年。
Aはモストロ・ラウンジでアズールに昔タコの人魚と会ったことを話していた。
「え、嘘でしょう？ あの時の人魚はAさんだったんですか！？」
『はい、泳ぐには人魚に変身したほうが早く泳げるので。あの時出会っていたタコさんがアズール先輩だったなんて……ふふっ、可愛かったなぁ』
「昔の僕を思い出さないでください。記憶の一部を消す魔法薬は……」
『消したらいやです。アズール先輩との思い出、消さないで』
悲しい目をして胸に縋りつくAにアズールはうっ……とたじろいだ。
「…………わかり、ました」
『私は今のアズール先輩も昔のアズール先輩も大好きです』
「……僕も、Aさんが好きです。他の誰よりも、ずっと」
アズールが気持ちを伝えるとAはいつか見せたあの可愛らしいはにかんだ笑顔をアズールに見せる。
胸に顔を擦り寄せるAを愛おしそうにアズールは抱きしめていた。
◇◆ここのつぶやき◆◇
リクエストいただいた もしも幼い頃アズールと出会っていたら になります
本編でアズールとはナイトレイブンカレッジに入学してから初対面になるので、もしものお話書かせていただけて楽しかったです、ありがとうございました！
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ここ(プロフ) - スイさん» ちょうどマレウスとの出会い編を書いていたのでそちらにディアソムニア全員出すようにしますね^_^子猫のお話、いいですね！どちらもリクエスト了解しました^_^応援ありがとうございます(*^_^*) (2021年2月10日 20時) (
レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
スイ - 嬉しい！ありがとうございます！！では、《ディアソニアと出会い編》と《夢主ちゃんが子猫になってしまった話》を読みたいです！楽しみに待って応援します！頑張って下さい！ﾟ+(人・∀・*)+｡♪ (2021年2月10日 18時) (レス) id: b731ff840f (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - スイさん» スイさん早速読んでくださりありがとうございます^_^良いと言っていただけて嬉しいです。はい、お時間いただきますがリクエスト大丈夫です♪ (2021年2月10日 18時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
スイ - 待っていました、本当に書いてくれてありがとうございます！とても嬉しくて良いリクエストです♪またお願いしても大丈夫ですか(*´･ω･｀)？ (2021年2月10日 17時) (レス) id: b731ff840f (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - ひなさん» 6歳ですね、了解しました！^_^ (2021年2月8日 12時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ここ
| 作成日時：2021年1月16日 22時
