いつもと違う君と ページ43
◇
「A、お前も今帰りか」
1人、オンボロ寮に帰ろうとしていたAを見つけたセベクは、小さな背中に声をかけた。
『セベク』
笑顔を浮かべて振り返るAに胸をときめかせながらセベクは平常心を装っていた。
「1人か……？」
セベクが周囲を見回すが辺りには誰も見当たらない。
普段からエースやデュース、ユウと一緒にいる彼女が1人とは珍しい。
『うん。クルーウェル先生にお手伝いを頼まれたから、ユウくんたちには先に帰ってもらったの。セベクも今から帰るところ？ 良かったら鏡舎まで一緒に帰らない？』
「僕からも誘おうと思っていたところだ。喜んでその提案を受けよう」
『それじゃ、行こっか』
こうしてAと2人きりになれる機会はとても貴重だ。
セベクはAの歩幅に合わせ、寄り添うように歩みを進めた。
◇
『雨降りそうだね』
「そうだな」
メインストリートに続く階段を降りた頃、Aが空を見上げながらぽつりと零した。
いつものこの時間なら美しい茜色の空が広がっているが、今にも雨が降り出しそうな灰色。
雨が降り出してしまえば、ゆっくりと進めているこの歩みを早めて走らなければならないだろう。
もう少しでもいい、Aといたい。セベクは祈るように空を見上げるが、セベクの祈りは届かず空から大粒の雨が降り始めた。
『わっ、降ってきちゃったね。走ろっか』
「A、少し待て」
『？』
制服の上着を脱ぎ始めるセベクにAは不思議そうに首を傾げる。
脱いだ上着をAの頭に被せるとセベクは柔らかく笑う。
「これでお前が濡れないだろう」
『っ……、これじゃセベクが濡れちゃうよ』
「鍛えている僕はこの程度の雨に打たれたくらいなんともない。行くぞ」
『う、うん……』
手を引いて走り始めるセベクにつられるようにAも走り始める。
頭に掛けられたセベクの上着が落ちないよう、ぎゅっと掴むAの頬は頬をほんのり赤く染まっていた。
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ミオ(プロフ) - ここさん» こちらこそ書いてくださってありがとうございます(*^^*) (2021年10月25日 15時) (
レス) id: 054e3ea455 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - ミオさん» ミオさん、リクエストありがとうございます！デュースとの甘々のお話ですね、かしこまりました(*´꒳`*) (2021年10月25日 8時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - とても素敵なお話ですね！リクエストをしたいのですが、デュースとの甘々を書いてもらうことは可能でしょうか？ (2021年10月24日 23時) (レス) id: 054e3ea455 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - ぷかぷかさん» ぷかぷかさん、コメントに応援ありがとうございます^_^リクエストかしこまりました。幼児化した際は人魚と人間の姿、どちらがよろしいでしょうか？ (2021年10月24日 10時) (レス) id: e9ce79e520 (このIDを非表示/違反報告)
ぷかぷか - とても素敵な作品ですねこれからも頑張ってください。リクエストをしたいのですが夢主ちゃんが幼児化したオクタヴィネルをお世話するお話が見たいです。お願いできますか？ (2021年10月24日 4時) (レス) id: 905c688a73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ここ
| 作成日時：2021年7月30日 23時
