検索窓
今日:24 hit、昨日:3 hit、合計:28,729 hit

赤side ページ6

頭が痛くなるほど大きなガラスの割れる音と、弾き出されるように勢いよく水に押される衝撃が体全体に渡った



地面に叩きつけられるのか、と直感的に感じ取ったが、いつまで経ってもその衝撃はこなかった


代わりにあたたかい「なにか」に包まれている





その「なにか」が人だと理解するまで少しだけ時間がかかった





水圧に押され、水と同じく身体は流されるように外へと向かおうとするが、足が水槽内でしっかりと固定されている為、水の流れに反して身体はついていけない



足首に絡まった金属の"それ"が、ただただ足首に食い込むだけで。




痛い、っていう感覚すら曖昧になってきた




多分血が出てんねやろな、ってのは分かる




けど、頭がろくに働かない



それでも、





目の前の自分を抱き留めてくれている人物はしっかりと理解できた







赤「りゅ…せ…」





自分でも笑ってしまうくらい、掠れた、弱々しい声だった


多分彼には届いていないだろう






それでも、心の底から安心した





じんわりと、冷えきった身体が、心が



あたたまっていく感じがした





そのままスっと意識が遠のいていった




*******

それからどれくらい眠っていたのだろう


いや、それとも死んだのかな




でも、何か遠くの方で音が聞こえてくる





ふわふわとした感覚に呼び覚まされる




誰かに呼ばれている気がする



ゆっくりと目を開く







視界の先には、また見慣れない天井





真っ白な、天井






「あの時と」一緒だ






少し前の、あの記憶がフラッシュバックする



怖い




恐い




こわい







また、注射を打たれるの?







また水槽の中に入れられるの?






また、"あの人"がーーーーーーーー










嫌な汗が額から頬へと伝う






身体が震える





赤「…っふ…あ…はぁ、っ、はぁ」







嫌だ、




また俺、






嫌だ




赤「…っひ…」




助けて





「しげ!?」





どこからかそんな声が聞こえた気がした





でも、都合のいい幻聴かもしれない




顔を向けたくない





そこに立っているのは







平川さんかもしれない






赤「…っひぃ…や…ぃ、や」

両手で、両耳を塞ぐ





頭がガンガンする





『重岡くん』




『僕は君を愛しているんだ』






頭で何度も何度もその言葉が聞こえる





聞きたくないのに






自分で自分の頭を殴る

・→←橙side



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (69 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
304人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

いずみ - いつも作品楽しみにしています。作者様のペースで大丈夫ですのでゆっくりでも更新してくださると嬉しいです。応援してます!! (2021年12月29日 0時) (レス) @page18 id: e2a4b2b3e3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - いずみさん» いずみさん、ありがとうございます!!とても嬉しいです!!この調子で書き進めていければと思います!!またお付き合い下さると有難いです (2021年12月2日 8時) (レス) id: 4db97cd269 (このIDを非表示/違反報告)
いずみ(プロフ) - いつも楽しみに見ています。最近更新速度が早くてとても嬉しいです!これからも楽しみにしています! (2021年11月30日 22時) (レス) @page2 id: e2a4b2b3e3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2021年11月29日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。