変装屋少女の愛され秘話本編【文スト】 (ページ6)

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第二十四話ページ6

中也side

糞ォ、Aに知られちまった…

好きな女に知られて恥ずかしくない訳がねェ

「中原、なんか具合悪い？」

俺と並んで歩いていたAが心配そうに云う。

どうやら不機嫌な気持ちが伝わっちまったらしい。

「否ァ？別に、なんでもねーよ」

元はといえば凡て彼奴のせいだ…

「大丈夫かえ？中也殿」

おかげで姐さんにまで心配される始末だ。

「全然大丈夫です、心配入りません」

そんな会話をしていれば、あっという間に目的地へと着いてしまった。

あれからせいぜい数十分、Aは姐さんと、俺が連れてきたエリス嬢の着せ替え人形になっている。

もちろんエリス嬢を連れてくるように云ったのは姐さんだが。

「愛いのう」

「A！次は此れよ！」

随分と幅広い分野の衣服が部屋に散らばって入る。

本人は女と云うこともあってか骨格やスタイルが良く、大体の服が似合っている。

それ故に二人の着せ替え要望は止まらねェってわけか…

「今ならリンタロウの気持ちがわかる気がするわ」

「おや、此れなんかどうじゃ？」

「いいわね！じゃあ此れと合わせて…」

…、とても楽しそうだ。

一方のAは髪の毛を気にしている。

二人が衣装選びに夢中になっている間、ちょくちょく此方に髪の毛は大丈夫か聞いてくる。

その度俺は頷き、あと何時間かかるのやらと時計に目をやる。

「A、これはどうじゃ」

パパッと衣装を渡され、おとなしく試着室に入るA。

一瞬、えっという声が聞こえたのは気の所為にしておこう。

「じゃ、じゃあいきますよ」

何度もやっている筈なのに、少し声色が違う。

すると、“女装”姿のAが出てきた。

「ボク、男なんですけど…」

恥ずかしそうに出てくるA。

否、手前本当は女だろ、なんていう突っ込みは出来なかった。

只、やはり男装より女の姿の方が綺麗だと俺は思う。

衣装を渡した二人を見ると、すっかりAに見惚れていた。

「とっても可愛いわねA！」

「真逆女用の服さえ着こなすとは、大したものじゃ」

だって女だからな…

「も、もう着替えますよっ」

恥ずかしそうに試着室に戻るA。

その後ポートマフィア内で、Aの女装が可愛いという噂は絶えず、Aが首領にまで目をつけられたのは、又別の話だ。