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何人?………何十、いや何百人?
甲板一帯に設置された檻の中にギュウギュウに詰め込まれた人々を見て、驚愕してしまった
檻の中の彼等は鉄格子を力一杯に叩きつけ、口をパクパクさせて何かを叫んでいる。何も聞こえなかったけれど、怒っていることに間違いはなかった
それを右から左へ、堕天使は感情のこもらない目で眺めた後、私に言う
「この権利取得ゲームでクリアしたのはお前だけだ、A。他の乗客はみんな途中でゲームオーバー。この中にいンのがそいつ等って事だよ」
「そんな……」
そんな、そんなの酷い。たかがゲームだ
クリアできなかったからって檻に入れるなんて酷すぎる
しかし、彼はこれっぽっちも気にしていないという風に話を続けた
「余りにも人数が多いから、俺等がこいつ等をどうするか決めンのは面倒なんだよ。だから、まとめてお前に決めて貰おうと思って」
「私が、決める…?」
どういう事?と困惑していると堕天使が足元にあった手錠の鎖をグイッと引っ張った
尋常じゃない力と、再び襲いかかってきた手首の痛みに悲鳴をあげると、そのまま腕を掴まれ、むりやり立たされる
そして、堕天使は力を緩めもせずに、にっこりと微笑んだ
「自分だけが生きるのと、自分だけが喰われるの、どっちがいい?」
「え、、?」
ズシンと頭に衝撃を食らったように、思考が止まる。彼の言っている意味が、分からなかった。
自分だけが生きる? 自分だけが喰われる?
それってつまり
「自分が犠牲になって、乗客何百人を助けるか、何百人を犠牲にして、自分1人が助かるかって話やんなァ」
その一言にドクンと心臓が脈打つ。堕天使の奥で志麻さんが、意地の悪い笑みを浮かべてこちらを見ていた
「で、どォすんの?Aチャン」
彼の視線から、逃げるように俯いた。
だって、こんなの選べる訳ない。自分の命と他の人の命を選べなんて、私には荷が重すぎる
嘲笑う魔物達が恨めしくて、悔しくて奥歯をギュッと噛み締めた
「選べないなら、どちらも喰うって事になるけど?」
「だ、だめ」
それだけは絶対にだめ、必死に首を横に振ると「じゃあ、どーする?」と問いかけられた
こちらの声が聞こえているのか分からないけれど、人々の視線が私に集まる
選択肢はたったの2つ
自分が生きて、何百人を見殺しにするか
自分が犠牲になって、何百人を助けるか
地獄の様な選択肢に今にも気が狂いそうだった
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。りうむ 。 - そうなんですね(´∀`*) 覚えていてくださって嬉しいです!(>ω<*) (2020年5月12日 23時) (レス) id: a1d0ac6eed (このIDを非表示/違反報告)
ユン(プロフ) - 。りうむ 。さん» あぁっ、りうむさん!!前作に引き続き、コメント、そして応援までありがとうございます!!そう言って貰えて嬉しいです!ちょっと張り切って作ってみました笑笑 (2020年5月12日 0時) (レス) id: ca6f64574e (このIDを非表示/違反報告)
。りうむ 。 - 1ゲームごとの画像を細かくつくっていてすごいですね!!(語彙力がなくてすみません(>< )) 応援してます!!(´ω`*) (2020年5月12日 0時) (レス) id: a1d0ac6eed (このIDを非表示/違反報告)
ユン(プロフ) - 紅灯-あかり-@crewさん» コメント、ありがとうございます!そう言って頂けてすごく嬉しいです(≧∇≦)これから志麻さんが大活躍(?)する予定なので、良かったら見に来てやってください笑 何時でもお待ちしてます! (2020年4月28日 21時) (レス) id: ca6f64574e (このIDを非表示/違反報告)
紅灯-あかり-@crew(プロフ) - 初コメ、一コメ失礼します!あ、すきです。志麻くんに首絞められるの見てゾクゾクしちゃった自分がキモくて怖いです(震え声)何時も見てます!更新頑張ってくださいね! (2020年4月28日 0時) (レス) id: 7ac7f90b4f (このIDを非表示/違反報告)
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