グリムラルカ インゴーストシップ

○ ページ11

え、これが問題？

思わず、文を読み返す。
『1番いいの集まるの、ど〜れだ？』

まるで小学生が考えたみたいな文章。いや、小学生でも流石にこんな文は書かないだろう。



クリスマス、誕生日、ハロウィン。

この3つの中で1番いいのが集まってくるイベントを選べ、という問題だろうか？


問題文を自分なりに整理してみて、さらに呆然としてしまった。



(そんなの分かる訳、、、)



まず、「いいの」が何を示しているのかが分からない。人によって良いと思う物は違うし、そもそもイベントに良いも悪いもあるの？


確かに、小さい子とかならクリスマスにはサンタクロースが来るし、誕生日なら誰でも「おめでとう」と言ってもらえる。ハロウィンなら「Trick or Treat」と言えば、お菓子を貰える。



私の場合は「Trick and Treat」だったけど。

ふと、あの赤毛の青年の声が頭にリピートする。柔らかくて優しい声だった。

私を気絶させた張本人なのに、かっこよかったな、なんて思ってしまうのが、少し悔しい。



(だめだ、集中しないと、、、)



液晶パネルの右上にあるタイマーを見ると第1ゲーム開始から、もう15分も経っていた。刻々と過ぎ去っていく時間が恨めしくて仕方がない



正解は、この3つの内の1つ
当たる確率は3分の1と言う事になる

仮に、3人組がいたとして其々が違う選択を選べば、必ず1人は正解を引き当てることができるのだ


生憎、この部屋にいるのは私一人だけ
だから、選べる選択肢は1つしかない

いっその事、その3分の1にかけてみようか？
でも、もし不正解を選んでしまったら、、、


ブンブンと首を横に振った。だめ、そんな事出来ない。挑戦して間違えて、はい残念でした、で死んじゃうのは嫌だ。絶対に、だめ



迫りくる恐怖と焦りの波に飲まれそうになって、泣きたくなる。こんな事になるなら、船に乗るんじゃなかった……！

後悔が、ぐるぐると回り始めた、その時だった



"ヒント"



画面下に小さく表示された文字が目に飛び込んで来たのは


ヒント、そうだヒントがあるんだ！！！

『ヒント』たった三文字だけの言葉なのに心が一気に救われたような気がした。消えかけていた蝋燭に火が灯るみたいに、闘志が再び、湧き上がる



大丈夫、きっと大丈夫
クイズを全正解して、家に帰ろう。それでお母さんのご飯食べて、笑い話にしちゃえばいい！

悪い夢を見た、ってね



「よし、、、」



私はそっと、ヒントと書かれたリンクをタッチした

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