《66》 ページ18
_
玄関先のインターホンを押すけど返答は無くて。
中村「電気…は点いてるみたいなのにな」
ドア横にある窓格子。
カーテンの隙間から僅かに光が漏れている。
うみくんがもう一度インターホンを押す。
すると、微かに中から物音が聞こえた。
中村「何か今聞こえたよな？」
『うん、何か落ちた……みたいな音？』
そんな会話の後、ゆっくりと目の前のドアが開き、少し皺の入ったスーツを着た海斗くんが姿を見せた。
宮近「…何？どした、」
中村「どした、じゃねーよ
電話掛けても出ねーし、」
宮近「あー、ごめん。寝てた。」
左上に付いた寝癖を手櫛で直しながら海斗くんはぽわぽわした表情で答えた。
中村「何だよそれ…心配しただろ、ばーか」
宮近「わりぃって笑」
中村「Aちゃんも文句言ってやれ笑」
急に振られたものだから、う…って言葉に詰まる。
『ば、…ばーか、』
詰まりながらも結局うみくんの真似をしただけ。
宮近「え、Aにばかって言われた…つら、」
言葉を発し、俯きながら両手で顔を覆う海斗くん。
『あ、え…ごめんね？』
泣くフリって分かってるけど、少し申し訳なくなって
顔を覆っている手に触れると少し違和感。
『海斗くん大丈夫？』
宮近「ん？何が？」
触れた手がいつもより熱い気がした。
『ちょっとお邪魔していい？
海斗くん、早くベッド戻って』
中村「え、ちょ…どしたのAちゃん」
状況を掴めていないうみくんの声が後ろから着いて来る。
ベッドに横になる様に促し、下がった前髪を掻き上げながら海斗くんの額に手を当てた。
『海斗くん、体温計ある？』
宮近「えーっと……確かその棚の2段目かな」
目線を辿ると、うみくんが先に引き出しを開けて差し出してくれた。
『うみくんありがと』
海斗くんに体温計を渡すと、Yシャツのボタンを上から2個程外し服の中へと入れた。
中村「何、やっぱ体調悪い？」
『多分…だけど、海斗くんいつもより熱い気がするの』
そう答えるとうみくんはふーん、と言いながらリビングの方に向かった。
その後すぐに冷蔵庫開けるー、と聞こえた。
大人しくベッドに横になる海斗くんとの沈黙。
つい先日この部屋にお邪魔したばかりなのに、久々にちゃんと海斗くんの顔を見た気がする。
少しして、測り終えた事を知らせる高い音が篭った音で聞こえた。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 969人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れおな(プロフ) - 宮近くん大好きさん» 数ある作品の中からこの作品に出会って頂きありがとうございます！リクエストもありがとうございます！連載中の作品もある為少しお時間を頂く様になるのですが、リクエストにお応えしたいので気長にお待ち頂ければ幸いです。 (3月7日 3時) (
レス) id: 23908185a8 (このIDを非表示/違反報告)
宮近くん大好き - 初めまして。宮近くんの小説を捜してたら辿り着きました。番外編のリクエストです。妊娠疑惑のお話と妊娠&出産のお話をお願いします (3月5日 19時) (レス) @page36 id: a964eda7da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れおな | 作成日時：2021年1月24日 11時
