《48》 ページ49
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━━━ 宮近side ━━━
タクシーの揺れで最初の位置から少しズレた手。
Aも同様で、後部座席のシートの上で二人の指先だけが触れた。
たったこんな事で少しだけ鼓動が煩くなった。
いや、中学生かよ。笑
この前みたいな状況じゃなければ手を握る勇気はまだ無くて。
少しだけでも触れているのが嬉しくて。
心の中の騒がしさを抑え、平静を装いながら窓の外を眺めた。
静かな時間が流れる中、不意に規則正しい寝息が右側から聞こえてきた。
ズルズルと少しずつ体勢が崩れていき、
座り直したと思ったら少し距離が縮んで。
次の瞬間には右肩に少しの重みを感じた。
隣に座っていたAの頭が肩にもたれかかっていて。
"んー"なんて可愛い唸り声と共に更に距離は縮まった。
「彼女さん寝ちゃいましたね笑」
宮近「えっ！？…あ、あぁ…そうっすね…」
運転手さんからの突然の言葉にあからさまに動揺してしまった。
彼女……ではないけど。
今だけそういう事にしておいてもらおう。
.
マンションの前に着いて、先に降りてAの手を引いた。
宮近「大丈夫？まだ眠い？」
『ちょっと寝たからか逆に目が冴えてきたかも笑
海斗くんは眠くないの？』
宮近「んー、カラオケでちょっと寝たから笑」
『あ、確かにちょっと寝てたよね笑』
マンションのエントランスに向かいながらの会話。
皆でわいわいするのも楽しいんだけど……
せっかくならもう少しAと一緒に居たくて。
宮近「…じゃあさ、」
腕時計で時間を確認するともうすぐ5時。
宮近「眠くなるまでもうちょっと一緒に話さない？
この前はお邪魔したから、今度は俺の部屋で」
変に思われないように。
Aともっと話したいのは事実だし。
『あ、それいいかも！
眠くなったらすぐに部屋戻れるしね』
笑顔で返ってきた言葉に少し安堵した。
少しの下心が無いわけではないけど…
頑張るって決めたし。
わかり易いくらいに行動しないと鈍感なAは気付いてくれそうにない。
ずっとただの同僚、友達
それだけの肩書きでは終わりたくなくて……
だいぶ欲張りになってきたみたいだ。
宮近「じゃあ決まり、
ちょっとシャワー浴びたいし30分後とかくらいで大丈夫？」
『あ、じゃあ私もそうする！また後でね』
そう言ってAとエレベーターで別れた。
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次回更新後、移行とさせて頂きます！
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作者名：れおな | 作成日時：2020年12月10日 6時
