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《36》 ページ37

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疲れが溜まってたせいか、今日はいつもよりも酔いが回ってしまったみたい。


そんな私を心配した宮近くんが部屋まで送ってくれた。



結局まともにお礼も出来てないし、同じマンションとはいえ迷惑を掛けた。




ほんの気持ち程度のお礼にしかならないけど、
コーヒーでも、なんてお誘いした。



一瞬驚いた表情の宮近くんと目が合い、すぐに逸らされた。


そして、遠慮がちに"いいの?"って。

むしろこんな事しか出来ないのが心苦しいけど…



咄嗟に誘ってしまったけど、部屋散らかってないよね!?


たまに朝が慌ただしくなる事もあって不安だったけど、そういえば今日は大丈夫だった事を思い出した。








.







コーヒーを用意してる間、宮近くんはずっと立ったままキョロキョロしてた。


あんまり見られたら恥ずかしいんだけど……


大して珍しい物がある訳でも、

インテリアに凝ってる訳でもない。


よくある平凡な部屋だと思う。




小さな机にコーヒーを置いて座ると、

宮近くんもその場で腰を下ろした。


20センチ程離れた距離は意外と近くて、ちょっとだけびっくりした。



宮近くんは何ともないといった表情でコーヒーの入ったマグカップを手にしていた。


ドキドキしてるのは私だけ?


煩く鳴る心臓。

その音が聞こえちゃうんじゃないかと思って。


目の前にあったテレビのリモコンを手にした。



『……あ、テレビ!宮近くんテレビ見ま「海斗、」…えっ?』


リモコンの電源ボタンを押す前に遮られた言葉。



宮近「海斗、って呼んでほしい……

…俺もAって呼んでいい?」



横を向くと、大きな宮近くんの目はしっかり私の目を見据えていた。


そのまま静かに私の言葉を待つ。



名前を呼ぶだけなのに。すごく緊張する。



『……か、かい、と……くん、?』


宮近「うん、なにA?」


名前を呼ばれた瞬間、大きく跳ねた心臓。


目を逸らそうにも何故か逸らせなくて。



その後胸がぎゅーって掴まれたような感覚。



宮近「…ははっ、何か照れるね笑」



先に逸らされた視線。

横に居る海斗くんの耳は少し赤く染まって見えた。



宮近「…Aって名前…良いよね」


『…海斗くんの名前も、良い…と思います、』


宮近「…なぁ、敬語もそろそろ止めない?」


『え、私敬語だった?』


宮近「敬語とタメ口が混ざったような…ほぼ敬語」


『気を付ける』





今日は海斗くんとの距離がぐっと近くなった気がする。





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作者名:れおな | 作成日時:2020年12月10日 6時

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