それは、いとも簡単に。 ページ30
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バクバク、と心臓が不規則に変な音を立てる。
うるさい、うるさい…！
「(…目を、逸らせなかった。まるで囚われたみたいに動けなくて、
それでもって、『流されてもいい』なんて、思う自分が、いた)」
体育館までの道のりは、長いようで短い。
私は見えてきた入り口を前に歩みを止め、深呼吸をした。
あの後、結局キスはせんかった。
唇が触れる直前、カシャンと医務室の何かが落ちる音がして、
その音に我に返って、咄嗟に治の手から逃れた。
「…残念やなぁ」
「…アンタ、病人のクセして何私如きに盛っとるんや」
「別に盛っとらんし。ちょおからかっただけやん。
…あぁ、でもその赤い顔を見るに、ホンマは満更じゃないんやろ、(人1)？」
「〜ッ…！さっさと寝ろアホ！バーカッ！」
私は動揺して、とりあえず治の鼻を思いっきりつまんで、
それから逃げるように医務室を飛び出した。
「(なんで心臓止まらんのや、アホッ。
落ち着けや…！私は、あんな奴、)」
歩みを止めても、ドキドキは止まらなかった。
痛いくらいに跳ねる心臓に、ずるずると壁にもたれかかる。
そっと、唇に指を這わす。
治の長い指が、触れた場所。
「(あつい、思い出すだけで、溶けそうなほど…)」
背後からじわじわと、今私が抱いてる感情らしきものが近づいてくる。
…分かっているのに、見て見ぬふりしかできない。
私は、後ろを見ることなく立ち上がり、体育館の扉を開けた。
.
.
「(人1)、ありがとうな。どうやった治は」
「水分も自分で補給できとったし、普通に喋れます。今は寝とると思います」
「ほうか。そしたらまた後で俺が様子見に行くわ」
「北さん、ありがとうございます」
私は北さんと、1年の子にお礼を言って、
咄嗟に、ある人の腕を掴んだ。
「うぉ、何やねん(人1)…」
「…ちょお顔面貸して」
「いやどんなセリフやねんそれ」
「黙って普通の顔して」
治と同じ顔の侑。
私は侑に顔をめちゃくちゃ近づけた。
なんや、と少し照れる侑を無視して、
私は衝撃でその場に座り込んだ。
嘘や。
「(同じ顔なんに、全くドキドキせんかった…
私、治が好きなん？)」
それは、いとも簡単に。
背後から追いつかれて、逃げないよう手を握られた。
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亀さん - 完結おめでとうございます！治最高…………次回作も読ませていただきます！ (2020年4月2日 10時) (
レス) id: 99a2eebfea (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - やまうみ。さん» コメントありがとうございます！初期からのファン…！嬉しいです、私の作品読んでくださってありがとうございます(^ ^) なるほど…おじいさまの名言、必ずやどこかで使わせていただきます！もう少しで完成するので待っててくださいね〜（＾ν＾） (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» コメントありがとうございます！ドSの治による荒治療はいかかでしたか？(^ ^) それはまずい！もう一度宮治の荒治療を受けることをお勧めします(無限ループ)← 死なないで〜…次回作もぜひ読んでくださいね！ (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ルナ・エイヴェルさん» コメントありがとうございます！過呼吸ぎみですけど大丈夫ですかッ(*_*) 結婚します(真顔)← ぜひぜひひっそりとニヤニヤ、キュンキュンしながら読んでください〜(^^) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» コメントありがとうございます！いえいえ！そう言ってもらえるだけで明日を生きる活力になるので大丈夫です← ぜひぜひ、次回作もよろしくお願いします〜(^^) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるか
| 作成日時：2020年3月22日 23時
