何かの始まりの合図のよう。 ページ22
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言うならば、狐と、それに捕らえられた獲物。
治の瞳の奥に見えるギラつきから目を逸らさずにいた。
「…抵抗、やめたん？」
「やめとらんけど、意外やなって思って」
「なにが？」
「アンタ私のこと嫌いなんに、こーゆーのは出来るんやな、って」
グッと押さえつける手に力が込められる。
爪は短く切られているのに、皮膚に食い込んで少し痛い。
「男ってそういうもんやねん。傷つけようと思えばいくらだってできるねん」
「…私のこと傷つけたいん？」
「んーまあ俺は傷つけるというよりかは弱味握りたい感じやな」
「ひ、ッ…どこ、触ってんねん、ッ」
お腹を触る手を、今度は足に持っていく治。
するするとジャージの裾がめくられ、太ももに触れる。
「あ、いやや、こしょばい、」
「ここ弱いんや、ええこと知ったわ」
「ん、みみで、しゃべんなッ」
「…耳もお好みやな？覚えとくで」
わざと。
私が苦手だと、表現してしまったところを、わざとしつこく触る治。
このドS野郎。
手も足も動かせればどこか痛めつけて逃げ出すのに。
「可哀想に。男には敵わんよな」
「アンタ、面白がって、ッ」
「そうや。その顔最高やで？いつも俺に噛みつきそうなくらい鋭い眼光も、今は潤んどるし、
頬も赤い、眉はだらしなく下がっとる。口は…まあいつも通りやな。
そんなんで、男止めれるなんて大間違いやで？覚えときや」
太ももを触る手が止まり、顎を掴まれる。
端正で、でも少しいつもと違う治の顔が近づく。
鼻先が、触れた。
近すぎて、顔がぼやけてしまうくらい。
その瞬間、突然心臓が高鳴り始めた。
ドクドク、と。
まるで、何かの始まりの合図のように。
なんで、コイツにはこんな最低な事しかされてないのに？
何をドキドキすることがあるの？
自分で自分が分からなかった。
治は悪戯っぽく、それでも妖艶に笑って、
唇を、薄く開いた。
「なーんてな」
「え…？いひゃ！？」
「(人1)って流されやすいなあ…変な男に引っかかりそうや」
「ひぇ…」
両頬を引っ張られ、ついでに服も整えられた。
唖然としてる私をよそに、治はしれっと立ち上がり、じゃあ段ボール持ってくわ。と部室を出て行った。
ペタンとその場に座り込む私。
まだバクバク鳴り続ける心臓。
「な、に…」
必死に絞り出した声は、掠れていた。
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亀さん - 完結おめでとうございます！治最高…………次回作も読ませていただきます！ (2020年4月2日 10時) (
レス) id: 99a2eebfea (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - やまうみ。さん» コメントありがとうございます！初期からのファン…！嬉しいです、私の作品読んでくださってありがとうございます(^ ^) なるほど…おじいさまの名言、必ずやどこかで使わせていただきます！もう少しで完成するので待っててくださいね〜（＾ν＾） (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - しぃらさん» コメントありがとうございます！ドSの治による荒治療はいかかでしたか？(^ ^) それはまずい！もう一度宮治の荒治療を受けることをお勧めします(無限ループ)← 死なないで〜…次回作もぜひ読んでくださいね！ (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ルナ・エイヴェルさん» コメントありがとうございます！過呼吸ぎみですけど大丈夫ですかッ(*_*) 結婚します(真顔)← ぜひぜひひっそりとニヤニヤ、キュンキュンしながら読んでください〜(^^) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 狐さん» コメントありがとうございます！いえいえ！そう言ってもらえるだけで明日を生きる活力になるので大丈夫です← ぜひぜひ、次回作もよろしくお願いします〜(^^) (2020年3月31日 23時) (レス) id: 932e8eeb07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はるか
| 作成日時：2020年3月22日 23時
