もはやどうでも。 ページ45
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「あれ、三井原さん?だよね?」
「うん、お久しぶり」
「うわ、2年ぶりだ!めちゃくちゃ可愛くなってる〜」
「ふふ、ありがとう」
内心ぐちゃぐちゃだった。
うまく笑えてるかも分からない。
唯乃ちゃんは一緒に来ていた子とはぐれてしまい、
ここで待ち合わせているそうだ。
「でもなんで兵庫にいんの」
「いとこがこっちに住んでるの。去年は部活忙しくて行けなかったけど、
今年はなんか休みだったから遊びに来たら祭りやってた感じ。
ていうか倫太郎くんが兵庫行くって話したとき私いとこがこっちに住んでる話したじゃん!」
「え、そうだっけ。ごめん覚えてない」
「もう!」
なんだこれ。
どす黒い感情が胸の奥深くからわき上がる。
「…2人、私が転校してから付き合ってたんだ?」
「…まあね、3ヶ月くらいだけだったけど」
「自分から告白してきといて3ヶ月後に振られたの私。意味わかんなかったよ」
「へえ…」
なにをきかされてるの?
倫太郎の、何を知ってるの?
唯乃ちゃんに罪はない。
純粋に付き合ってただけなんだ。
それでも、聞けば聞くほど、黒くて憎い塊が溢れてくる。
私、嫉妬深かったんだなあ。
__ポツ、
「…あ、れ…?」
「(人1)…?なんで泣いて、」
「っ、やだ!」
頬を伝う涙を拭おうとした倫太郎の手を、
私は何を思ったか払いのけてしまった。
あーあ。本当可愛くない。
唯乃ちゃんみたいに素直でいれたらどんなに良かっただろうか。
「っ…倫太郎、の、バーカ…」
「え、」
涙は止まらない。
私は咄嗟に走り出した。
後ろから倫太郎が、珍しく大声で私の名を呼ぶ。
そんな大声も出せるんだなあ。幼なじみなのに初めて聞いた気がするや。
小柄なのが幸いして、するりするりと人の波間をかき分けてどんどん進んでいく。
走って、走って、走って。
とにかく、倫太郎から、離れたかった。
「っいたっ、」
下駄の鼻緒が切れて転ぶ。
ああ、さっきから良くないことばかり。
「(バチが、当たったのかなぁ…)」
大丈夫ですか、という声に軽く会釈をして、
私は片方裸足でまた歩き出した。
ジャリジャリと足の裏に伝わる痛覚も、もはやどうでもいい。
「(…侑、ごめんダメかもしれない…)」
私は未だ止まらない涙を拭いながら、ひたすら歩き続けた。
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あやね - 「離れ離れの1年ちょっと。」のところの角名君の出身地は、愛知県です!! (2022年11月2日 18時) (レス) @page4 id: 04b5e98dd0 (このIDを非表示/違反報告)
すなりんん - 涙が勝手に溢れてきましたごめんなさい「?」 (2020年4月22日 1時) (レス) id: 22d4d41058 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - え、好きです (2020年3月24日 10時) (レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
のん - 再び失礼いたします。完結おめでとうございます!!!!角名はやっぱ色気の塊ですね!えっrrr((素敵な推しをありがとうございました!治も楽しみにしております。がんばってください!! (2020年3月22日 23時) (レス) id: a9c340b6bb (このIDを非表示/違反報告)
亀さん - 完結おめでとうございます!!!やっっっっと結婚しましたね!!!←角名くんすきぃ……次回作も読みます!!!佐久早好きなの分かりすぎて泣…………サム楽しみにしてます!!! (2020年3月22日 22時) (レス) id: 1af3b4280f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はるか | 作成日時:2020年3月8日 1時