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「ふっ、貴様ら如きが。叩き潰せ」
徳川くんが、後ろに並んだ生徒たちに指示を出す。
が、動く生徒は一人もいなかった。
「ゴミども何をしておる!」
「無駄でございます」
徳川くんがみやちゃんを睨む。
「皆さまは、私たちの味方でございますから」
徳川くんの後ろにいたジャージの生徒たちが、ゾロゾロとこちらに移動してきた。
そして、最後に明智くんも。
「彼らはあなたを裏切りました。僕の説得によって」
「お前が?」
これには流石の徳川くんも動揺しているようだ。
「“お前が?”でいいのか?」
「あ!?」
「それが、貴様の遺言となるのだが」
怒りを抑えるように顔の端々を震わせる徳川くん。
「家康、僕たちは最初から知っていたのだ」
「最初?」
「お前が小型マイクを使い我々の行く先を知り、あたかも裏切り者の仕業のように見せかけた時からだ」
信長は徳川くんに見せつけるように襟元に触れた。
─────────────────────────
先日、みやちゃんに呼び出された私たちは、夜の体育倉庫に集まっていた。
『明智くん、?』
体育倉庫には、これ以上ないくらいの仏頂面をした秀吉くんや、不満げな酒井くんたちに加えて、明智くんがいた。
徳川くんに対抗するために味方になり、同盟まで組んだ明智くんに裏切られたのだ。
気持ちもわからないではないけど…。
明智くんは、唇をキュッと引き結んでいる。
徳川くんについたはずの明智くんが、私たちに何の用だろう。
『…あ、えーっとすいません、遅くなりました…』
私が信長の横に座っても、みやちゃんも明智くんも口を開かない。
徳川くん派以外の特進の生徒(武田くん黒田くんは除く)は揃っているみたいだから、私の断り待ちかな、と恐る恐る声を発したんだけど、そういうことじゃなかったらしい。
「明智」
黙ったままの明智くんに、上杉くんが声をかけた。
「お前、よくものこのこと俺らの前に出てこれたよな…裏切りもんが」
「秀吉!」
「やめてやれ」
秀吉くんは相当腹を立てているらしく、明智くんの胸ぐらを掴んだ。
そんな秀吉くんを上杉くんが引き剥がす。
「で、話とは何だ?」
ずっと正座をしていた明智くんは、徐に頭を下げた。
『明智くん!?』
「何だそれは」
「許してくださいとは言いません!でも、本当にすいませんでした!」
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美優(プロフ) - A?さん» コメントありがとうございます!前田くんと絡めるように頑張ります! (2022年8月26日 10時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
A? - 凄く面白いです前田との絡みが欲しいです (2022年8月25日 15時) (レス) @page35 id: 463b37ca19 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - いつも楽しく拝読しております!秀吉ともっと絡ませてほしいです!!! (2022年8月25日 14時) (レス) @page35 id: a89c13a921 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずさん» ありがとうございます! (2022年8月23日 19時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 応援してます!! (2022年8月19日 18時) (レス) @page13 id: c8c40d0f19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆう | 作成日時:2022年8月10日 0時