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「今日ずっと、様子が変だったぞ。国語の時間に数学の教科書を開いていた」

『うっそ…』

「熱があるのか?」

『っ!ない!ないよ!超元気!』


そのまま信長の手がおでこに向かってきたので、慌てて手首を掴んで阻止した。

あなたのことで悩んでますなんて言えるわけない!


「…そうか。ならいい」

『心配してくれて、ありがとう』

「湖、寄ってくか?」

『…うん』


それ以上追求されなかったことにホッとするとともに、湧き上がる罪悪感。

信長が湖に誘ってくれたのは、偶然じゃないと思う。

湖は、私の大好きな場所。

波を見ていると、なんだか気持ちが落ち着くから。

嫌なこととか悲しいことがあったときは、いつも信長を連れ出して話を聞いてもらっていた。



「スルメでも食うか」

『…食べる』


重いだろうに、わざわざ七輪を持ってきてくれていた信長。

最初から、湖に誘ってくれるつもりだったのかな。


『あ、見て、ここにしよ?』


適当に二人で座れそうな場所を見つけてきて、腰を下ろす。


『外だったらスルメも焼き放題だね』

「教室でも焼き放題だぞ?」

『みんな匂いするから嫌がってたよ?』


いい具合に焼きあがってきた頃、後ろから駆け寄る足音が聞こえた。


「あの!」

『あれ?』

「なんだ貴様か」


振り返れば、みやちゃんだった。


「私にもイカを!…あ、スルメを、いただけませんか?」


言い直したみやちゃんに、信長はニヤリと笑った。



3人並んでスルメを齧る。

みやちゃんは、チラチラと信長を見ては、何か言いたそうにしていた。


「それはなんだ」

「え?」


信長が気になったのは、みやちゃんの鞄についている武将・織田信長のストラップだった。


「これはその…」

「変な人形だなぁー。うつけな顔をしている。…Aもそう思わないか?」

『あはは、確かに』

「あの、」

「スルメまだ欲しいか?」

「え?」

「イカはいかが?と聞いてる」


またニヤリと笑った信長。

駄洒落を言うときは本当に楽しそうだ。


「駄洒落!?ふっ、駄洒落でございますか?…あはは」


みやちゃんのツボに入ったらしい。

めちゃくちゃ笑ってくれている。


「やっぱり駄洒落がお好きなんですね!」

「やっぱり?貴様どういう意味だ」

「あっ、これはその、」

『私がみやちゃんに話したの、信長が駄洒落好きだって!…ごめんね?一回忘れよ?…イカだけに』

「…いかがですか?」

「おい貴様ら。…傑作だな」

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美優(プロフ) - 紗奈さん» コメントありがとうございます!私も嬉しいです!! (2022年8月15日 19時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈 - 私このドラマシリーズ好きなので嬉しいです! (2022年8月15日 18時) (レス) @page6 id: 2c45cd1730 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずやまさん» そのお言葉が一番嬉しいです!ありがとうございます🥰 (2022年8月9日 2時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すずやま(プロフ) - 更新楽しみに待ってました!☺️これからも作成頑張ってください! (2022年8月8日 18時) (レス) @page37 id: 50da26ed0a (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - 寧々さん» わざわざありがとうございます!全然迷惑じゃないですよー!! (2022年8月5日 16時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆう | 作成日時:2022年7月25日 9時

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