． ページ29
「またお前の仕業か」
「残念ながら今回は俺じゃねえ」
「井伊くんではない？」
井伊くんじゃないなら、裏で糸を引いているのは誰なんだろう。
「調子に乗ってる猿に、みんな鬱憤が溜まってんだろうよ。あっはっはっはっ」
「たったの56本で、ゴミどもはここまで騒ぐか」
ずっと黙っていた徳川くんが、立ち上がる。
信長との一件以来、サングラスは外しているらしい。
「まあ、56も205も、変わらんがなぁ」
近くに立っていた武田くんに嫌味のように言うと、こちらに向かって歩いてきた。
私たちが出口にたっているからというだけのことなんだけど、初日の徳川くんの怖さが忘れられなくて、無意識のうちに信長の後ろに隠れていたらしい。
「どうした？」
『、なんでもない』
同級生、ましてやクラスメイトに対してこんな態度取るのは失礼ってわかってるしぜひ秀吉くんたちみたいに仲良くなりたいんだけど、今はまだ無理そうだ。
信長は不思議そうに徳川くんの後ろ姿を覗き込んだ。
「Aは、この戦いが終わってから来るのか？」
『うん、そうする』
「怪我だけはするな」
元々秀吉くんが蒔いた種というのもあって、今回ばかりは興味がない上に助ける気も無さそうな信長は、旗印戦開始の前にさっさと屋上へ行ってしまった。
『秀吉くん！』
「どうしたん？」
自分に何ができるわけでもないけど、何か言っておきたくて秀吉くんに声をかけた。
『…気をつけてね』
「なんやー？そんなん言うてくれるなんて、Aちゃん俺のこと」
『そうじゃなくて。…諦めない人なら、倒れても立ち上がれる人なら、きっと勝てるから』
秀吉くんが戦に出た後、みやちゃんの隣に座って旗印戦開始の合図を聞いた。
「やっぱり私、こんなの耐えられません。Aちゃん、信長くんは？」
『屋上にいるみたいだよ』
案の定というか予想通りというか、みやちゃんは信長に助けを求めに行った。
私はなんだか、秀吉くん自身の力で勝ってほしくて、みやちゃんについていく気分にはなれなかった。
「おい加藤、お前は行かねえのか？」
「秀吉がほんもんだったら、俺を除いた55人なんぞ蹴散らすくさ。そんときに、ゆっくりサシで料理してやるくさ」
教室に残ったままの加藤くんは、本当の喧嘩がしたいらしい。
「ケンカの弱え秀吉がよ。お前はどう見る？このいクサ」
「ひとつだけ気になることが」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 601人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美優(プロフ) - 紗奈さん» コメントありがとうございます！私も嬉しいです！！ (2022年8月15日 19時) (
レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈 - 私このドラマシリーズ好きなので嬉しいです！ (2022年8月15日 18時) (レス) @page6 id: 2c45cd1730 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずやまさん» そのお言葉が一番嬉しいです！ありがとうございます🥰 (2022年8月9日 2時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すずやま(プロフ) - 更新楽しみに待ってました！☺️これからも作成頑張ってください！ (2022年8月8日 18時) (レス) @page37 id: 50da26ed0a (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - 寧々さん» わざわざありがとうございます！全然迷惑じゃないですよー！！ (2022年8月5日 16時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆう | 作成日時：2022年7月25日 9時
