． ページ16
「私は知りたいのです、父様が何を託したのか。だから、戦を止めてください！」
「そんなに止めたきゃ自分で止めればいいだろう？戦は絶対に誰にも止められない」
「絶対は絶対にございません！だってあなたがそう仰ったじゃないですか」
スルメを齧る信長にそう言い捨てると、みやちゃんは走って行ってしまった。
「…俺が？」
『言っちゃった…』
「それよりA、その手どうした？」
『え？』
信長に右腕を掴まれたので見てみると、大きく腫れていた。
『…さっき転んだときに捻ったのかも』
アドレナリンが出ていたのか、必死すぎて気づいていなかった。
言われたら急に痛み出す。
「それは、この戦が関係しているのか」
『…大丈夫だよ。それよりみやちゃんが』
「答えになってないぞ」
『…言わない。だって、信長は助けてくれないんでしょ？』
「仕方ない。…Aは安全なところで待ってろ」
みやちゃんが走っていった方へ向かうと、大勢に囲まれた武田くんと、棒を構えたみやちゃんがいた。
他校の生徒まで連れてくるなんて、これじゃ旗印戦にすらならない…
と、信長が竹籠に入った桜を自ら散らしながら敵方の間に入っていく。
慌ててその後ろについていくと、籠を押し付けられた。
『私が散らすの？』
「持ってるだけでいい」
「信長くん…」
「信長？」
武田くんに微笑みかける信長。
「貴様…」
「うつけよ…」
「てめえ何してんだよ！？なめてんのか！」
「おいみやび！」
「『みやび？』」
「唄え！舞うぞ」
「…はい！」
みやちゃんが敦盛を唄い始めると、信長は舞うように相手を倒していった。
ちなみに大沢くんは、扇子で頭を打たれただけで気を失ってしまった。
ただ、花見の余興で桜吹雪の中を踊っているような。
湖で見た美しい舞が繰り広げられているだけのような気がした。
敦盛が終わったとき、井伊くん方の生徒は一人残らずやられてしまっていた。
みやちゃんの唄に感化されて舞い踊る信長。
ちょっとモヤモヤするのは気のせいかもしれない。
そして、何事もなかったかのように、信長が扇子を閉じる。
「なぜ助けた？答えろ信長」
「貴様が勝とうが負けようがどうでもいい。…ただこのうつけな連中が、戦を汚す権利などない。行くぞA」
『…うん』
間もなく、試合終了だろうか、遠くから法螺貝の音が聞こえた。
「信長くん！Aちゃん！」
後ろから、みやちゃんが走って追いかけてきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 601人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美優(プロフ) - 紗奈さん» コメントありがとうございます！私も嬉しいです！！ (2022年8月15日 19時) (
レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
紗奈 - 私このドラマシリーズ好きなので嬉しいです！ (2022年8月15日 18時) (レス) @page6 id: 2c45cd1730 (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - すずやまさん» そのお言葉が一番嬉しいです！ありがとうございます🥰 (2022年8月9日 2時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
すずやま(プロフ) - 更新楽しみに待ってました！☺️これからも作成頑張ってください！ (2022年8月8日 18時) (レス) @page37 id: 50da26ed0a (このIDを非表示/違反報告)
美優(プロフ) - 寧々さん» わざわざありがとうございます！全然迷惑じゃないですよー！！ (2022年8月5日 16時) (レス) id: c086026ca6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆう | 作成日時：2022年7月25日 9時
