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「…靖友くん」
「どうした？」
「こっち来てっ」
「ハ…！？」
空いてる方の手をぐいっと引っ張られて、路地裏に連れて行かれる。
Aは周りに人が居ないか、キョロキョロ確認した後俺に抱きついてきた。
「！？ 急にどしたんだヨ！」
思いがけないAの行動に驚く。
俺の声を聞いて、俺にまわしてる腕にぎゅっと力を込めるA。
「…靖友くん、寂しそうな顔してたから。」
「…へ？」
「だから、寂しくないように…安心させるように抱きしめようと思って。」
俺の顔を見上げるAの優しい表情に思わず胸が高鳴った。
………アー……
さっき寂しいなんて思っちまったの、顔に出てたのか。情けねェ。
Aは、子供をあやすかの様に俺の背中にぽんぽんと優しく手を当てる。
「大丈夫だよ、靖友くん。静岡に行っても、毎日連絡するからね。」
……ンだよこいつ……
「もう待ってるだけの私じゃないから。バイトして稼いだお金で会いに行くね。」
…バイトしようかなっつってたのは、俺に会いに行く為の電車賃集めかヨ…
「靖友くんが寂しくなる前に、靖友くんの隣に飛んでいくね。」
………俺の気持ちもお見通しって事か………
「…ハァー…おめーかっこよすぎ。」
「えへへっ」
俺も愛しい恋人を抱き締め返す。
……ホント、俺にはもったいねぇくらいの彼女だな。
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作者名：蓮菜 | 作成日時：2021年4月10日 0時
