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Aside
「A、今時間あるか？」
「うんっ、大丈夫だよっ。」
靖友くんの卒業式前日の夜…、靖友くんから電話がかかってきた。
「電話なんて久しぶりだね。何か用だったの？」
「用がなきゃ電話しちゃダメなのかヨ。」
「そんな事ないよ、電話嬉しい。ありがとう。」
ほんと………嬉しい。
耳元から聞こえる愛しい人の声に心がポカポカする。
自然と表情が明るくなるのを感じた。
「靖友くん、明日早起きじゃない？ちゃんと起きれる？」
「ハッ、部活引退するまでは朝練もあったんだぜ？明日は卒業式だけだから余裕だっての。」
「…あ……卒業……かぁ。」
ふいに出てきた『卒業』という言葉…。
その言葉が、ポカポカしてたはずの心の奥にずっしりとのしかかってきた。
「……A…？」
「そ、卒業…おめでとうっ。…って、まだ早いか。」
…おめでたい日なのに、こんな気持ちでいちゃだめだ。
靖友くんの卒業をお祝いしよう…！
そう思ってお祝いの言葉を投げかけて『あはは…』って笑ってみせたけど、自分でも声が弱々しくて震えてるのが分かった。
「…A…、何があった。」
「…へ…？」
私のか細い笑い声を遮って靖友くんが口を開いた。
「さっきから……いや、最近ずっと様子がおかしい…。何かあったろ。」
「……っ」
……靖友くん……気付いてたんだ…。
…そりゃ気付くよね。自分でも誤魔化すの下手だなって感じたもん。
『俺の前では弱音吐いていい。』
…ふいに、前に靖友くんが言った言葉を思い出した。
……靖友くんなら……今のわたしの不安な気持ち……呆れることなく聞いてくれるかな……？
「…靖友くん、」
私はゆっくり口を開いた。
「靖友くん……高校卒業したら……私から離れちゃうの…？」
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作者名：蓮菜 | 作成日時：2021年4月10日 0時
