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「ま、待って靖友くん…！」
「そろそろ手ェ離すぞー」
「む、むりっ、怖いよ…！」
レンタルした自転車に乗るAと、それを支える俺。
試しに支えてる手を離すと、すぐふらつくAはほんっとに危なっかしい…。
「前見て思いっきりペダル回せば進むから安心しろっての」
「わ、わかった…やってみる…」
背中を押してやるのと同時にAが力いっぱいペダルを回す。
「お！乗れてんじゃん」
「や、やった…！わ！！」
「あぶな…！」
喜んだのも一瞬。
ガシャンと音を立ててAは自転車と一緒に倒れてしまった。
「悪ィ…！まだ手ェ離すの早かったな…大丈夫か…！？」
怪我がないか心配して慌てて駆け寄ったけど、Aは俺の想像とは違ってスッゲー目をきらきらさせてた。
「靖友くん…！ありがとうっ、自転車乗れたよ…！」
「怪我は……」
うん、無さそうだな。
「自転車が進んでる間風がすっごく気持ちよくって…！景色があっという間に変わっていって…！」
「くすっ…ウン。」
「自転車の乗り方教えてくれて、ありがとう…！」
「どーいたしまして。」
乗れたのはほんの少しの時間なのに、それを興奮気味に話すAが可愛い。
「靖友くんと一緒にサイクリングできるように、少しずつ練習していくねっ」
「ン。楽しみにしてんヨ」
…Aとサイクリングかぁ…
ずっと病院に居た時には考えられなかったな。
今は、それを実現することだって出来るんだ。
これからもっと、お前といろんな事していきてぇな。
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作者名：蓮菜 | 作成日時：2021年4月10日 0時
