賑やかな委員長決め 其の三 ページ29
貴「如何にも。僕は雄英の生徒だ。」
声をかけてきた男の問いに答える。懐かしい。この男からは血の香りがする。前世で、ポートマフィアでは当たり前だった香りが。
「へぇー凄いねェ、雄英って倍率高いんでしょ？」
貴「嗚呼。僕は入試を受けておらぬ故わからぬが、随分と高いと聞くな。」
僕は校長の勧誘で入学した故に個別に試験を受けたが、一般の入試では仮想敵ロボットと戦ったのだという。
「入試受けてないのに入学してんの？」
貴「僕は他とは違う事情持ちな故。入学試験ならば別に受けている。」
そう云うと男はふーん、と声を発しながら再び校門の方を見た。
相変わらず報道陣が詰め寄っている。今日は早く病院を出たので朝礼まであと十五分ほどある。
ゆとりはあるのだが、いずれは報道陣をどうにかして校舎に入らねばならない。
「…制服着ないでいいの？」
貴「僕の個性にこの外套は必要なのだ。許可は取ってあるので問題ない。」
矢張り皆 疑問に思うのだろう。この質問をされたのは何度目だろうか。
ぽつぽつと、男と会話を交わしながら報道陣を眺める。作斗が死んでから、ここまで他人と穏やかに話したことがあっただろうか。
龍之介や銀、中原さんのようなポートマフィアの人間と同じ雰囲気を纏っているからか、この男と話すのはなかなか気分が善かった。
貴「……その首…」
ふと男に視線を向けた時、ボロボロに荒れた首元が目に付いた。
そういえば先程も酷く掻き毟っていた。
「あぁこれね……癖みたいなもんだよ。」
それほど気にしていない様子の男。然し、あれほど荒れていては少なからず痛みを感じるのではないだろうか。
貴「これを貴様にくれてやろう。」
僕は薬局で貰った保湿クリームとやらを取り出し、男に差し出した。
「……こういうのってさ、君みたいな女の子が塗るもんじゃないの？」
貴「…！」
この男、僕が女ということが分かるのか。いや、別に隠してなどいないのだが、大抵の人間は僕を男だと認識する。
…八百万や梅雨は女の勘というもので分かったらしいが。
貴「…初対面で僕を女と見抜いた男は貴様が初めてだ。」
「そうか？結構わかりやすいぜ。」
得意げにニヤリと笑う男。
勘が鋭いのだろうか。
「それよりさ、これアンタが塗ってくれよ。俺苦手なんだよ、こういうの。」
貴「子供か貴様は。」
「個性上しょーがないんだよ。」
全く、世話の焼ける…
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十七夜(プロフ) - お答えします。主人公の芥川妹は文ストの世界から来たいわば転生者です。文ストでは少し難しい漢字や言い回しをするのと、転生者として他のキャラクターと違いを出そうと思ったからです。これからもよろしくお願いします。 (2019年5月11日 9時) (
レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - はじめまして！この作品すごく私好みの作品です！一つ質問ですがヒーローをヒーロォと書いているのはなぜですか？ (2019年5月11日 2時) (レス) id: 1a55ee5e7b (このIDを非表示/違反報告)
十七夜(プロフ) - ありがとうございます！楽しんで頂けるように、これからも頑張って更新していきます！ (2019年5月6日 19時) (レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
鶴(プロフ) - 初めて見たんですが、とっても面白いです！文ストもヒロアカも好きな、自分にとってはもうご褒美としか、言いようがないです！ありがとうございます。更新がんばってください！応援しています！ (2019年5月6日 17時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
十七夜(プロフ) - 雫さん» 応援ありがとうございます！一人称がやつがれな無自覚系男装女子が書いてみたかったのです。これからもよろしくお願いします！ (2019年5月1日 18時) (レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十七夜 | 作成日時：2018年11月10日 17時
