或る戦闘訓練 其の八 ページ26
日の暮れ出した空の下で僕は帰路についた。
荷物を取りに教室へ行った時、反省会とやらに誘われたが、薬局に寄らねばならないので遠慮させてもらった。
「…おい。」
背後から声をかけられる。
振り向けばそこに居たのは何やら浮かぬ顔をした爆豪だった。
貴「爆豪か。僕に何の用だ。」
爆「………」
おそらくは先程の戦闘訓練のことだろう。
様子を見る限り、爆豪は緑谷との間に確執を抱えているようだった。
今まで下に見ていた者がいつの間にか隣に並んでおり、しかも負かされた。
凝り固まった自尊心が崩れ、不安定なのだろう。
強い力を持った者ほど脆く、壊れやすいものだ。
貴「貴様はこれで終わるのか？」
爆「…！」
貴「緑谷に負かされたままで終わる気か？」
爆「…なわけねぇだろ…！」
貴「確かに自らより下に見ていた者に隣に並ばれ、それは疎か抜かされるなど耐え難いものなのだろうな。」
龍之介と人虎の諍いが脳裏に浮かぶ。
貴「強い貴様だからこそ惰弱な緑谷に敗北を期したことは認められないのだろう。」
太宰に認められたかった強者の龍之介。
太宰に認められた弱者の人虎。
互いに太宰から才を見出された者であるからこそ、龍之介は人虎に烈火の如き憤怒の感情を抱いたのであろう。
貴「強い者ほど脆く壊れやすいが……貴様はどうだろうな？敗者のまま終わるか、はたまた敗北から奮起し這い上がるか。」
爆「決まってんだろ！這い上がってあのクソデクを叩き落としたらァ！！」
手を爆破させながら吼える爆豪。
どうやら立ち直ったようだ。
爆「俺はクソデクに負けねぇ！テメェにもだ！
クソデクを叩き落とした後、テメェもぶっ殺してやる！！」
貴「フ……それは何より。
楽しみにしておこう。」
爆「…！」
余計な時間は食ったがまぁいいだろう。
僕らしくはないが、織田ならきっとこうしただろうからな。
貴「そうだ、薬局に寄るんだった。」
僕は薬局への道を急ぐのだった。
＿＿＿＿＿
爆「アイツも…笑うんだな。クッソ無愛想な奴かと思っとったわ。」
＿＿＿＿＿
「おや芥川くん久しぶりだねぇ。またいつものやつかい？」
貴「あぁ、よろしく頼む。」
「じゃあ準備しとくから、また明日の朝に取りにおいで。今日の分は渡しておくよ。」
貴「…今 全て頂けないのか？」
「だってアンタ来るの遅いよ、売り切れちゃったりしたのもあるんだよ。
明日には用意しとくから。」
貴「む…」
＿＿
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十七夜(プロフ) - お答えします。主人公の芥川妹は文ストの世界から来たいわば転生者です。文ストでは少し難しい漢字や言い回しをするのと、転生者として他のキャラクターと違いを出そうと思ったからです。これからもよろしくお願いします。 (2019年5月11日 9時) (
レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - はじめまして！この作品すごく私好みの作品です！一つ質問ですがヒーローをヒーロォと書いているのはなぜですか？ (2019年5月11日 2時) (レス) id: 1a55ee5e7b (このIDを非表示/違反報告)
十七夜(プロフ) - ありがとうございます！楽しんで頂けるように、これからも頑張って更新していきます！ (2019年5月6日 19時) (レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
鶴(プロフ) - 初めて見たんですが、とっても面白いです！文ストもヒロアカも好きな、自分にとってはもうご褒美としか、言いようがないです！ありがとうございます。更新がんばってください！応援しています！ (2019年5月6日 17時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
十七夜(プロフ) - 雫さん» 応援ありがとうございます！一人称がやつがれな無自覚系男装女子が書いてみたかったのです。これからもよろしくお願いします！ (2019年5月1日 18時) (レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十七夜 | 作成日時：2018年11月10日 17時
