すがる宝石 ページ8
『ひぃっ！！』
可愛さの欠片もない、私の悲鳴が思わず飛び出る。
血の気が引くとはこの事だろうか。
なぜなら。
ベッドで寝ている金髪男性の頭から足まで、真っ黒のモヤが覆いかぶさっていたから。
視界がぼやけていて良かったかもしれない。
目眩がまた起こりそうになる。
zm「何や、なんか分かるんか？」
そうゾム様が覗き込むように見てくる。
そう言えばゾム様の肩にも同様の物があったが、この金髪男性の比ではない。
それに、今のゾム様につく黒いモヤは先程よりも薄まっていた。
…私が吸収したから？
『…何があったんですか？』
tn「隣国の会合の帰りに魔物の群集に襲われたんや。もちろん護衛もおったし、俺も付いとった」
ゾム様とタメ口で話せるこの人も位の高い人なのだろう。
トントン様は続けて口を開く。
tn「魔物にやられた訳やない。やのに城に着いて倒れた思たら、もう3日も起きひん。軍医が診たけど傷もないし理由が分からんのや」
『理由不明…』
zm「なぁ、何か分かるか？えーっと…名前なんやった？」
あれ？なんて言うゾム様。
ここで私は自分が名乗っていなかった事に気付く。
『Aです』
zm「Aな！俺はゾムで、こいつはトントン。で、この寝てんのがグルッペン」
ゾム様がフードからチラリと瞳を出す。
改めての自己紹介に、2人を見た後グルッペン様へと視線を移す。
お偉方2人が必死になるくらい、大切な人なのだろう。
助けたい気持ちはもちろん分かる。
しかし、なぜ私なのか。
tn「うちの予知者が言うたんや。異世界からの転生者がグルさんを助けるって」
顔にでも書いてあったのか、そう説明するトントン様が私を見つめる。
メガネの奥の赤い目が揺れてとてもキレイだ。
『……それが私？』
zm「Aなら助けれるんやろ？」
tn「お願いやAさん！グルさんを助けてくれ！」
キラキラした赤と黄緑が縋るような視線を向けてくる。
お前しかいないんだと言わんばかりの、懇願の眼差し。
…我ながら悪い癖だとは思う。
こんな風に求められると、断れない。
あの真っ暗な空間で言われた、流されやすいはこういうところを言うんだろうな。
『出来るかどうかは分かりません。初めてなんで。でも…、やってみます』
そう言えば、2人の瞳が大きく見開く。
更に光を増した瞳は本物の宝石みたいだ。
せっかく目眩が治まってきたというのに。
この後起きるであろう予測に、大きなため息をついた。
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ゆかり(プロフ) - わぁーー、めっちゃ嬉しい！ありがとーございます！書きたい話はまだまだあるので、頑張りますね。 (2021年11月3日 20時) (
レス) id: 22f5afe48d (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - とても面白いです！どストライクにハマる世界観、書き方、夢主の性格...など！めちゃくちゃ好きです。次の更新楽しみにしています。無理せず頑張ってください！ (2021年11月2日 23時) (レス) @page31 id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 御三方、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです！頑張る励みになりますね。そして銀狐様、ご指摘ありがとうございました。コソッと直してみました！ (2021年10月25日 12時) (レス) id: 22f5afe48d (このIDを非表示/違反報告)
銀狐(プロフ) - この作品好きです！これからも御体に気を付けながら頑張ってください！あと大食漢ではないでしょうか？ (2021年10月25日 10時) (レス) @page18 id: b88b2ea9fb (このIDを非表示/違反報告)
シー - え、めちゃくちゃ好きです！！応援してます！！ (2021年10月21日 3時) (レス) id: 7d376a875d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆかり | 作成日時：2021年10月15日 6時
