気付いて em ページ25
em side
『そうですか。wrwrd国はそんなに争いの多い国だったんですね』
目の前で悲痛な顔をするAさんは、頭が良い女性だと思う。
この世界について説明をすれば、的確な質問を返して私が答える。
そのやり取りの中、Aさんの聡明さが感じ取れた。
em「今でもグルッペンさんは、事あれば開戦に持っていこうとされますよ。wrwrd国は強国です。ただ戦争になれば色々な犠牲を払いますからね」
『私のいた世界でも過去に戦争が起こり、その悲惨さは語り継がれています』
Aさんは私が渡した国の歴史が書かれた本に目を落としながら、静かに話す。
em「ここ数年は大きな争いは起こってません。この世界でもこのまま戦争が過去の物となれば良いんですが」
『そうですね。ところでエーミール様、この本をお借りする事は出来ますか？』
Aさんが手元の本を示してくるので頷く。
それには歴史だけでなく、城下町や周辺の森や国の情報も記載されているので読みやすい。
『エーミール様の知識量は本当に凄いですね』
em「え？」
『エーミール様はこの国随一の知識を誇る方だとペ神様から聞いてましたが、今日こうやってお話を聞かせて頂いて感服しました』
目を見て急にそんな事を言われるものだから、気恥ずかしくて目を逸らす。
em「能力なんです」
『エーミール様の能力？』
em「私の能力は1度見聞きすれば忘れません。アルバムから写真を取り出すように、頭の中には鮮明な記憶として残ってるんです」
『それは…おつらいですね』
思ってもいなかった返しに、Aさんへ視線を戻す。
em「今何と？」
『すみません、失礼な事を』
em「あ、そうではなくて。どうしてそう思われたんですか？」
人からそんな風に言われたのは初めてだった。
Aさんは言いにくそうに口を開く。
『人は…忘れる事で生きていけると思うからです。エーミール様のように全てを忘れられないのは…つらいのでは、と。すみません』
私の能力。
人からは羨ましがられこそすれ、そんな風に言われた事は初めてで。
それは、初めて分かってもらえた私の本心だった。
em「Aさん」
嫌な記憶にツライ記憶、忘れてしまいたい記憶。
全てを忘れる事の出来ない私。
戦力としては貧弱な私。
少しでもこの能力が力になれるならと必死だった。
そんな私の気持ちには誰も気付いてくれなかった。
つらい、か……
em「ありがとうございます」
私の気持ちに気付いて下さって
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ゆかり(プロフ) - わぁーー、めっちゃ嬉しい！ありがとーございます！書きたい話はまだまだあるので、頑張りますね。 (2021年11月3日 20時) (
レス) id: 22f5afe48d (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - とても面白いです！どストライクにハマる世界観、書き方、夢主の性格...など！めちゃくちゃ好きです。次の更新楽しみにしています。無理せず頑張ってください！ (2021年11月2日 23時) (レス) @page31 id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 御三方、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです！頑張る励みになりますね。そして銀狐様、ご指摘ありがとうございました。コソッと直してみました！ (2021年10月25日 12時) (レス) id: 22f5afe48d (このIDを非表示/違反報告)
銀狐(プロフ) - この作品好きです！これからも御体に気を付けながら頑張ってください！あと大食漢ではないでしょうか？ (2021年10月25日 10時) (レス) @page18 id: b88b2ea9fb (このIDを非表示/違反報告)
シー - え、めちゃくちゃ好きです！！応援してます！！ (2021年10月21日 3時) (レス) id: 7d376a875d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆかり | 作成日時：2021年10月15日 6時
