隣の家のお兄ちゃん～Ren.N～ (ページ10)

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昨日はすっかり廉兄にお世話になってしまった。
身体はもう大丈夫だと言うのに、朝から廉兄が異常なほど心配してくる。

「Aほんまに大丈夫？学校休まんでよかったん？」

「んな大袈裟な……もう身体も大丈夫やし、心配しすぎやって！」

「キツかったらすぐ保健室行くんやで？無理したらあかんからな？」

「はいはい、大丈夫ですよーっと」

下駄箱で靴を履き替えて、廉兄にバイバイと手を振る。
教室に入るなり、夕が私の腕を引っ張り無理矢理席につかされた。

驚きのあまり目が点になる。

「Aさぁ、永瀬先輩のこと好きなんやろ」

「はっ？！んな訳ないやぁーん！廉兄はただのお隣さんやって～！」

「いや嘘下手くそか！」

夕の鋭いツッコミが入る。
まさか、夕にこんなに早くバレてしまうとは思ってもみなかった。

「で、永瀬先輩とは付き合ってんの？」

「いや？付き合ってへんよ」

「はぁ？！もしかして、告白すらしてないん？」

「当たり前やん。私みたいなんが廉兄に告白したら、ただ困らせるだけやろ」

「臆病者め」

夕は呆れた顔をしているが、私は何一つ間違ったことなど言っていない。
だって、ずっと妹だと思ってた奴から急に告白されたって、廉兄は困るに違いないから。

すると、夕が突然“しゃーないなぁ”と言ってポケットからスマホを取り出した。
誰かにメールを送っているようだった。

「Aさ、小瀧望って人知っとる？」

「ああ、知っとる。廉兄と仲良い人」

「うち、のんちゃんと親戚でな？今日のお昼、のんちゃんと3人で食べようや」

「えっ？！でも私、小瀧さんと話したことあんまないで？」

「もー、A。あの人がなんて呼ばれてるか知らんの？」

そう言われても、殆ど関わりを持たぬ人なのだから、なんて呼ばれているかなど知るはずがない。
私は思いきり首を横にふった。

「恋愛マスターって呼ばれてるんやで？せやから、のんちゃんに永瀬さんのこと相談してみぃや！」

「はぁ？！無理やって！」

「でものんちゃん、Aが永瀬さんのこと好きって気づいてんで？」

まさか小瀧さんにも知られていたとは。
自分の分かりやすさに少しばかり落胆する。