episode12 ページ12
あのあと、小瀧さんとは連絡先を交換した。
早速小瀧さんから連絡が来て、トーク画面を開いてみれば“今日、デートに誘ってみ”というメッセージと共に、頑張れというスタンプが送られていた。
了解ですと返事をして、スマホを仕舞う。
昨日と同じように、私は一人グラウンドまで出て、サッカー部の見学をする。
私の存在に気付いた廉兄が、わざわざ走ってまで私の元へ来てくれた。
「よ、今日も見とくだけでええからな」
「はーい。マネージャーって見とくだけでええの?」
「そう言うわけでもないんやけど……まだ見学のうちやから、入部するんやったらマネージャーの仕事とか教えたるよ」
「そっか……わかった。とりあえず考えとく」
「おん。じゃあ俺、練習戻るな」
行ってらっしゃいと軽く手を振り、ベンチに腰かける。
サッカーボールを華麗に蹴っていくその姿は、他の誰よりもかっこよかった。
練習が一通り終わったようで、ミニゲームが始まった。
廉兄が味方からのパスを受け取り、そのままゴールまで一直線にボールを蹴った。
点が入ると、両手をあげて満面の笑みを浮かべながら喜んでいた。
そんな無邪気な面にも、どんどん惹かれていく。
部活も終わり、少し疲れ気味の廉兄と横に並んで帰る。
そこではっと小瀧さんの言葉を思い出した。
「廉兄!」
「うおっ、何なん急に。びっくりするやろ」
「あのさ、今週の日曜って何か予定ある?」
「いや、特にはないで?」
「じゃあさ……久しぶりに、二人で出掛けへん?」
「別にええよ。確かにAと出掛けるとか久しぶりやんな〜」
めっちゃ楽しみやわ、と言って微笑みを向けてくる廉兄に、また余計な期待が膨らんでいく。
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作者名:も。 | 作成日時:2019年9月20日 0時