【忍たま】忘れたくない人2

鉛 ページ18

【竹谷side】

Aが崖から落ちた


俺が敵を引き付けてAを逃がした途端に雨が降り出し、それに足を滑らせてしまった彼女が崖から落ちて怪我を負う羽目になった


Aが崖から落ちかけているのを見つけた俺はそのまま彼女に手を伸ばし、引っ張りあげようとした



けどその努力も虚しく、Aは暗い崖の下へ落ちていった


Aがここまで大事に運んできてくれていたであろう茶菓子は崖のすぐそばに落ちており、俺はそれを拾い上げすぐさまAの無事を確認しに行った



正直言うとここまでの記憶は俺自身、うっすらとしか覚えておらず、どのようにしてAを忍術学園まで連れて帰ってきたのかは説明ができなかった


けれど、雨と泥、所々が血で汚れた俺たちを見た伊作先輩の焦りようが凄かったのは鮮明に覚えていた







Aはその後すぐに医務室へと運び、伊作先輩を中心として治療が施された


俺は1年生の乱太郎と伏木蔵に治療してもらった



俺は心配で医務室に残っていたかったが伊作先輩から事の詳細を説明する必要があると言われ、渋々医務室を後にした



できるだけ小松田さんのことは伏せ、町へ行き茶菓子を買った後に襲われたということを説明した


案外説明の方は早く終わり、医務室に戻ろうとした俺だが医務室の入口で新野先生に止められ、心に大きな鉛を抱えたような気分で自室に戻った


同じ学年の三郎や雷蔵、勘右衛門や兵助はとても心配してくれた





そのまま夜が明け、俺はタイミングを見計らい医務室へAの様子を見に行こうとしたが必ず医務室には新野先生か伊作先輩がいる状態で、まともに近づけなかった



そしてそのまま時間がダラダラとすぎ、俺は本当に不安で押しつぶされそうになっていた


あの時俺がAを逃がさずにその場で守ってやれたなら、そもそも俺が山賊の存在に気づいた時点でもっと早く対処しておかなければいけなかったんじゃないか


そんな似たり寄ったりの内容が頭の中をぐるぐると渦巻いていた



Aが医務室に運ばれてから2日たった頃、伊作先輩が俺に逢いに来た


「どうしたんですか、伊作先輩。わざわざ5年の教室にまでいらっしゃって」


善「これは君に1番に伝えなくてはいけないと思ってね」


そう言われた瞬間俺は察した、


徐々に重かった頭が軽くなっていくような気がした


善「実はねさっきAちゃんが､､」


'目覚めたんだ'という伊作先輩の言葉を聞く前に俺は走り出していた

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