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タイムカプセル・パズル 3 ページ10

「はぁ…今日の会長もかっこよかった…。」

茜色に染まる路地を、私は一人で歩いていた。
会長が気をつけろ、と言ってくれた○○通り。

確かに人通りは少ないけれど、開けているし問題ないだろう。

そしてわざわざ忠告してくれたということは私の帰る方面まで覚えていてくれたということではなかろうか、そう思うと胸が高まる。
しかも私が引っ越してすぐなことを気遣って…



「…あれ?」


私、引っ越してきただなんて話、会長にしたっけ?

高校入学と同時の引っ越しだったから、必要ないだろうと思ってそこまで周囲の人に引っ越しの話をしていなかったはず。少なくとも、生徒会ではした記憶がない。

頭に疑問符を浮かべていると、つい前方不注意で前から来た人にぶつかってしまった。

「あ…ごめんなさい……っ…!」

ぶつかった相手を見上げると、派手な金髪に派手な服装、腕には入れ墨の男が二人。
全身から血の気がすっと引いていくのを感じた。


「ってぇ、ケガしたかもしんねぇ〜」

「まじ?じゃあこの子にいやしてもらおっか?」

するとぶつかっていない方の男が私の腕を掴む。
慌てて振りほどこうとしたけれどびくともしなかった。

「や、やめてください…!」

「いいじゃん、お兄さんたちといいことしようや、な?」

会長のいうことをちゃんと守っていれば、こんなことにはならなかったのに。
そのまま腕をひかれ、近くにある車まで連れていかれる。

怖くて声も出せない。
無理やり歩かされながら脳裏に浮かぶのは憧れの人。

こんな人たちとは正反対で、とても優しい人。
荒事なんて絶対にしなそうだから来てくれても何も変えられないとわかっているのに。

どうしても思い浮かべずにはいられなかった。


助けて、会長…。








その時。


「すみません、その子に何か用ですか?」

聞こえてくるはずのない、優しい声。




恐る恐る振り返るとそこには



「会長……!」


ずっと思い浮かべていた会長の姿があった。

「あ?こいつがぶつかったから落とし前つけてもらおうとおもってな。」

突然現れた会長に怪訝そうな顔を向ける男たち。
逃げ出したくなるようなこの状況でも、会長は毅然とした姿勢を崩さなかった。

「彼女はきちんと謝罪をしましたよね?
 これ以上ことを荒立てるなら警察を呼びますけど?」


「うるせぇんだよ!勉強しか能のないおぼっちゃんがよ!」

私を掴んでいない方の男が会長に掴みかかり




会長の顔を思いきり殴った。

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設定タグ:オリジナル , 恋愛 , 短編   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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トトトノト - すごい良い!めっちゃ好きですわ〜。続きを見たいです。あっ、勿論自分のペースでええけど...。 (2020年7月1日 22時) (レス) id: 200aff7742 (このIDを非表示/違反報告)
瀬令瑠菜(プロフ) - 水渚桃華さん» ありがとうございます!イベント内の作品やイベ主様の作品もこれから拝見しますね! (2020年5月24日 16時) (レス) id: 82a09a5d81 (このIDを非表示/違反報告)
水渚桃華 - 読ませていただきました。面白かったです。私が気に入った話は、生徒会長×後輩役員の話です。カッコ良い会長にときめいてしまいました!これからも見にきますので、更新頑張ってください。イベント参加有難うございます。 (2020年5月24日 15時) (レス) id: 3a85905bbd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瀬令瑠菜 | 作成日時:2020年5月23日 23時

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