5 黒の心 ページ7
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事務所での事務作業を終えて、パソコンをシャットダウンさせた。
明日は珍しく二人とも非番だ。
久しぶりに出かけるか、どちらかの家でまったり休みたい。
最近は忙しかったし、家の方で話を進めてみるか…
今日は私にしては一歩踏み出せた。
今日の私なら、普段言えないことを言えるような気がする。
「作業、終わったんか」
「うん。ごめん、待たせて。」
「大して待ってねえ」
私服に着替え、コートを羽織り、事務所を施錠して
いつも通り勝己君の隣を歩いて私のマンションに向かう。
冬に吹く冷たい風を背後から感じとった。
「前に進め」と言われている感じがした。
「勝己君。明日さ、二人とも休みじゃん…？」
「そうだな」
「家、来ない？」
喉につっかえていた言葉をようやく吐けた。
私のことが嫌いだからとかそういう理由では絶対に断られるはずがないのに今までずっと言えなかった。
やっと言えたことが嬉しくて、舞い上がっていた。
「悪りィ。行けねえ」
「…ごめん、急に言われても無理だったよね。」
断られてショックな気持ちを顔に出さないで、ヘラヘラと
笑っておいた。
久しぶりの休みだし、用事くらいある。
一人でゆっくりしたいのかもしれない。
けど、私ら仕事以外で会わないじゃん。
少しくらい、私を優先してくれたっていいじゃん。
「無理に仕事以外で会うことねーだろ」
黒くて、誰にも見られたくない感情が、たった一言に反応してしまった。
「私ら、なんで付き合ってるの？」
「なんでって…ンなもん＿＿＿＿」
「仕事以外に会わない関係って、仕事上"だけ"の関係だよね。
なら、もうきっぱりと別れて仕事だけの付き合いにすればいいじゃん！」
「なんでそうなんだよ！極端すぎんだろ」
「二人で出かけたいとか、手を繋ぎたいとかそういうの今まで言えなかったのは悪いと思ってるよ。でも、勝己君から今までそういうことしたいって言ってきたことないじゃん…！」
勝己君を悪者にする口も、溢れてくる涙も全部止まらない。
止めようと思っているのに、どうしても止められない。
「やっぱり、好きになる奴まちがえたでしょ」
いきなり怒った私に困惑している勝己君の顔を見て、やっと
自分がどれだけ"めんどくさい女"の発言をしていることに気がついた。
「…ごめん、頭冷やしながら一人で帰る」
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えむむ(プロフ) - ゆっきーさん» ありがとうございます！ 別作品が連載できましたらよろしくお願いいたします！ (2023年3月13日 19時) (
レス) id: 2134a4f440 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー - とても良かったです！別作品も楽しみにしています！ (2023年3月12日 14時) (レス) @page11 id: affcd77921 (このIDを非表示/違反報告)
あやっや - 楽しいですね (2023年2月17日 12時) (レス) @page10 id: c8057eaae3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむむ
| 作成日時：2023年1月29日 11時
