69. ページ19
.
「…のんのぱぱ、もうすぐ、おたんじょうびやの、」
「…へぇ、そうなんだ。 おめでとうだね、?」
「…ん、だから、おてがみかきたいねんっ。 じょーずなおてがみ、」
のんは、だから、わたしに、ひらがなを教えてほしいって言った。
上手なお手紙、なんのことかと思ったけど、のんの中では、文字が並ぶ手紙のことを、そういうみたい。
なんでだろうね? 別に絵だけの手紙が下手なわけじゃないのに。
それでも書きたいんだ、って強く言うのん、いいよ、わたし、ひらがなには自信あるから。
あ、これなら大毅くんに勝てるわ、字のきれいさ、勉強教えてもらった時に見たんだけどさ、めっちゃ下手なんだよ? ほんと男の子の字って感じで。笑
「…なんて書く、?」
「…んー、……なにしよっかなぁ、」
「…まずは、パパへ、じゃない?…パパへ、……あ、ひらがなか、間違えた。」
おえかきちょうを破って、それにお手本を書いてあげる。
そしたら、いきなりカタカナで書いちゃって笑った、ひらがなっつってんのにね? ごめんごめん。笑
書き方も見てわかるように、ゆっくり書く、ってか、わたし、人生ではじめて左利きでよかったって思ったかも。
のんが右利きだから、こう、見せながら書けるわけ、わかるでしょ? ちょうど見やすいの。
のんは、はじめて文字を書いたみたいで、その3文字だけでも、難しそうに、くちびるをとがらせてる。
ぶちゃいくになってるけど、一生懸命で可愛い、それは紙にどかんと書かれた、その大きな3文字にも言えること。
「…次は?」
「…んー、…こんにちはっ、!」
「…え? こんにちは、?笑 …おめでとうは? 書かないの?」
「…あ、おめでとう、かくっ! おたんじょうび、おめでとう、…わぁ、むずかしいなぁっ、」
もちろん、1日では、手紙は完成しなかった。
だから、毎日毎日、病室でちょっとずつ書いて、しかも、のん、ゆっくりしか書けないのに、めっちゃ書きたいことあってさ、びっくりしたわ。笑
そして、やっと、できた!って声が聞けたのは、1週間と、2日ぐらい経った後。
誕生日な? あと2回寝たら!って、ちょっとギリギリじゃん、それならもっと早くから、書くこと教えてくれたらよかったのに。笑
まぁ、完成したからいいか。
なんか、わたしまで、明後日が来るのが、すごく楽しみ。笑
.
625人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みき(プロフ) - いつも楽しく拝読しています。毎日更新されているか楽しみで、お話が続くのが嬉しいです。お忙しいとは思いますが、更新頑張ってください! (2019年10月26日 23時) (レス) id: 80bf883441 (このIDを非表示/違反報告)
Riru(プロフ) - のんちゃんのお手紙で涙が出ちゃいました、、西埜さんが選ぶ言葉がほんとに大好きです。 (2019年10月24日 12時) (レス) id: 52537ea43d (このIDを非表示/違反報告)
りりあん(プロフ) - 西埜さんの文章がすごく好きです!これからもずっと応援しています! (2019年10月18日 4時) (レス) id: bb098296da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茉都香 | 作成日時:2019年10月15日 23時