【中堂系】誠実な愛を貴方に向けて。

Sincere love*021 ページ22

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何か、しとけ…か。
冷蔵庫何かあるのかなと思い、「失礼しまーす」と開ければ

「え〜」


調味料のみで。
彼は私に新しい調味料を作れと言ったのかな？


なんて馬鹿らしいことを考えるけど、こんな格好じゃ出かけられない。



とりあえずまだ濡れた髪を乾かそうと適当にタオルドライする。
くんくんと、タオルの匂いを嗅げば系さんの匂いがするし動きずらい大きすぎるスウェットからもその匂いがして意識せずにはいられなくて。



私は変態か。




「っはぁ〜。聞きたいこと、あるのに。聞けない」



変な気を打ち消すようにさっきのことを思い出す。
告白紛いのあの発言は忘れた方がいいのだろうか。いや私の都合でいえば忘れたくない。私も彼に惹かれているのは分かりきったことだった。


それなら私もですと伝えてしまえばいいはずなのに、1歩踏み出せないのは、彼といるとなぜだかあの人のことを思い出してしまうからだ。
彼とあの人に関係があるか無いか、そんなのは分からない。寧ろ関係の無い人間同士であってほしいと強く思ってしまう。



___引っかかるのだ。彼との間に起こった全てのことに。偶然だと思っている。だけど普通次の日もあの時間に来たり、たまたま頼んだサンドイッチを食べて懐かしそうな目をしたり、あの夜もふらりと現れたりなんて、しないのではないか。何かを感じていなければ。



まるであの人とあの人の愛する人とのあいだに起こったことを繰り返しているように感じられた。だから馬鹿な私はあそこで肉じゃがを出したのだ。すると案の定彼は切なそうな目をした。




確かな証拠はないけれどそんな行動からもしかしたら彼が夕希子姉ちゃんの愛してやまなかった人なのではないかと思うのだ。重なってしまう、夕希子姉ちゃんの話と。




だとしたら彼が惹かれてしまうのは当然かもしれない。でもそれは私にじゃない、夕希子姉ちゃんとの思い出に、だ。間違えて彼女の代わりに、彼女に重ねて私を愛してしまっているのだ。



いや、そんなことない。否定する自分もいた。彼が惹かれていると言ったのは私に対してだ。だから職業が被っているのも、たまたまなんだ。と。170人ほどしかいない中の2人目に出会ったんだ、と。
まぁ正しくは夕希子姉ちゃんの彼には会っていないけれど。



だけどもし、彼が夕希子姉ちゃんの愛する人だったとしたら？
私はどうしたらいいのだろうか、今まで犯人だと信じて疑わなかった相手に私は





＿＿＿＿＿恋をした？




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