月恋 第192話 「猫じゃらし」 ページ49
目の前の彼の迫力に圧され、一言も発することが出来ず。まともな説明をすることも出来ず、ただ、ぷるぷる小刻みに震えていれば、お茶を淹れに行っていた夜さんが戻って来て、慌てて始さんを落ち着かせてくれたため、その場は何とか収まった。
「あの、ですね、頬は父と喧嘩して、その際お互い手が出てしまって。その時叩かれて腫れたんです。誤解を招いてしまい、申し訳ありませんでした」
「いや、俺も。俺の早とちりで怖がらせて、すまなかった。だから……出て来てくれないか? いい加減、ちゃんとお前の顔が見たい」
「あと10分ほどお待ち下さい」
現在、お互いの勘違いを解き、納得し合ったものの私は先程の恐怖が抜けておらず。夜さんの後ろにぴったりくっ付き、始さんから隠れている。
「しっかし、夜。お前随分となつかれたな」
葉月さんが夜さんと、その後ろにひたすら身を隠し、彼の服の裾を遠慮がちに握る私の姿を交互に目にしてから、少しだけ感心した様に声を上げた。
どうやら、今まで距離を置いていた私が夜さんに自ら引っ付いていることを言っている様だ。
夜さんに本心を打ち明けたことで、彼との心の距離が少し縮まったように思え、思わず彼の後ろにくっついてしまったが、迷惑だっただろうか。
「ふふっ、羨ましい?」
「まあ、かなり?」
しかし、その心配は杞憂だった様で。葉月さんに対し、夜さんは何処か嬉しそうに、くすぐったそうに小さく笑みを返し、服の裾を掴んでいる私の手に自分の手を優しく重ねてきた。
「ほーらAー、そろそろ出てこーい」
「新さん、私は猫じゃないんですが」
ヤマトがよく遊んでいる猫じゃらしを取り出し、私の目の前でふわんふわん揺らす新さんに若干の冷ややかな視線を送る。
それをやって喜びじゃれつくのは猫科の動物であって、ヒト科である人間には効果がないはずである。
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櫻餅(プロフ) - ♯鈴音色♭さん» コメント有難う御座います！お話だけでなく夢主までも好きだと言って頂けて嬉しい限りです。また少しずつですが更新していきたいと思っておりますので、続編も宜しくお願い致します！ (2018年11月5日 18時) (
レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
♯鈴音色♭(プロフ) - 桜餅さんおかえりなさいです！ このお話も主人公ちゃんも大好きなので、続編お待ちしています！！ (2018年11月5日 17時) (レス) id: b160fc2e68 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - 深海さん» 返信が遅くなってしまい申し訳無いです。朏さんとのお話は自分も楽しく書いていたので、そう言って頂けて大変嬉しい限りです。中々更新が最近出来ていませんが頑張って行きたいと思います。コメント有難う御座いましたm(__)m (2018年8月27日 20時) (レス) id: fb6a326e77 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 読んでいてとても楽しくなりました。特に朏さんの辺りの話が好きです。これからも楽しみにしています、更新頑張ってください。 (2018年8月25日 0時) (レス) id: 5947186a26 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨコ - 丁寧に教えてくださって有難うございます。成程、私も試してみます。これからも頑張って下さい。応援しています。 (2018年8月4日 9時) (レス) id: 0464d791fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻餅 | 作成日時：2018年4月15日 23時
