月恋 第184話 「ぶっ飛んだ思考回路」 ページ42
「それにしても、どうしたんですか?こんな時間に」
新さんがテレビ電話へと変更し、此方の姿が見える様になったため、此方も同じくテレビ電話へと切り替える。どうやら、グラビの共有ルームで電話をしているらしく、新さんだけでなくグラビのメンバーや帰省中の夜さんと葉月さんを除いたプロセラ面子も勢揃い。豪華なテレビ電話であり、画面が華やかだ。
そんな中、突然電話を掛けてきた新さんに一体全体何の気まぐれだと首を傾げた。
時計の針はもう夜の9時を示しており、良い子はお風呂に入っているか寝る時間である。かく言う私も入浴を済ませたばかりのため、寝巻きに使っている黒のTシャツと短パン姿である。
「いや、そろそろ俺の声が聞きたくなるころだろうと思ってな?」
「そんなことには全くなっておりません。余計なご心配と御気遣いをどうも有難う御座います。それではお休みなさい」
「待って待って」
画面越しにドヤ顔を浮かべてそう告げる新さんに多少イラつき、通話を切ろうと電話の通話ボタンに手を掛けるも、慌てて新さんがそれを止めに入る。
新さんの声が聞きたいとまでは行かないが、何時もの騒がしさが無くて違和感を感じたのは事実。意外と当たっていてちょっと悔しかった。
「で、どうしたんですか?」
「いや、ほんと気になって電話しただけですごめんなさい」
ノンブレスで理由を告げられ謝られた。
母や友達以外の人に自分を気にかけて貰えたことが新鮮で、少し心の奥に擽ったさを覚える。
「それにしてもお前の家広いなー。そこ居間だろ?」
画面から家の様子が見えるため、新さんが興味深げに此方を眺めてくる。
「いえ、此処は祖父が作った茶室です。居間はもっと奥の方です」
私が現在電話している場所は、今は亡き祖父がどうしてもと作った茶室。この部屋が一番エアコンの効きが良く、暑い夏の風呂上がりは毎回此所に逃げ込むのだ。
「聞いたか葵? 最近のご家庭には茶室があるらしいぞ?」
鳩が豆鉄砲を食らったような表情を浮かべ、同じく隣で驚きを隠せない様子である葵さんの肩を揺らす。
「いや、普通のご家庭にはこんなもの存在しませんからね?! ちょっとうちの祖父の思考が変わってるだけなんで気にしないでください」
本当にお堅い父を育てたのかと思うほど愉快な性格をした祖父であり、かなり思考がぶっ飛んでいた人間だと思われる。
「なるほど、お前のその変人気質はおじいさん譲りだったわけか」
「どういう意味ですか?!」
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櫻餅(プロフ) - ♯鈴音色♭さん» コメント有難う御座います!お話だけでなく夢主までも好きだと言って頂けて嬉しい限りです。また少しずつですが更新していきたいと思っておりますので、続編も宜しくお願い致します! (2018年11月5日 18時) (レス) id: c0a9d4f092 (このIDを非表示/違反報告)
♯鈴音色♭(プロフ) - 桜餅さんおかえりなさいです! このお話も主人公ちゃんも大好きなので、続編お待ちしています!! (2018年11月5日 17時) (レス) id: b160fc2e68 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - 深海さん» 返信が遅くなってしまい申し訳無いです。朏さんとのお話は自分も楽しく書いていたので、そう言って頂けて大変嬉しい限りです。中々更新が最近出来ていませんが頑張って行きたいと思います。コメント有難う御座いましたm(__)m (2018年8月27日 20時) (レス) id: fb6a326e77 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 読んでいてとても楽しくなりました。特に朏さんの辺りの話が好きです。これからも楽しみにしています、更新頑張ってください。 (2018年8月25日 0時) (レス) id: 5947186a26 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨコ - 丁寧に教えてくださって有難うございます。成程、私も試してみます。これからも頑張って下さい。応援しています。 (2018年8月4日 9時) (レス) id: 0464d791fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2018年4月15日 23時