隣の友人 ページ21
「やっと来た。鼻血はもう良いのか?」
「さっき止まったから大丈夫。」
「さっき……」
「そう、さっき。」
1限目が終わった直後、授業の終わりを知らせるチャイムが鳴ると同時に私の鼻から止めどなく流れ出てきていた血は嘘のように止まった。
そして2限目の数学が始まるちょっと前に、私は教室へ。
南雲君が隣の席で助かった。私の分のノートを取っていてくれていた。
「南雲君、何だかんだ言って優しいよね。」
南雲君の丁寧な字で書かれたノートを眺めながら、シミジミとその優しさを感じ取る。
隣の南雲君はその言葉が聞こえていたのか耳まで真っ赤にして、そっぽを向いてしまった。正にツンデレとはこの事である。
「あ、千鶴ちゃんのクラスは次、体育みたいだよ。」
南雲君そっくりの双子の妹であり、元男子校であるこの学校の数少ない女子生徒の1人、雪村 千鶴ちゃん。
隣のクラスで、南雲君似の美形であるが性格は嘘のように似ておらず、控えめ且つ優しくて気遣いの出来る子ゆえ、男子生徒からの人気は高い。
私も彼女のファンの1人だ。そして南雲君は妹大好きなシスコン。
私の席は一番後ろの窓際で、運動場の様子がよく見える。
彼女が外に居ると聞いて、南雲君は窓の外を勢いよく振り返る。その時間、およそ0,3秒。
「井吹 龍之介、千鶴に話し掛ける。1点減点。」
千鶴ちゃんと同じクラスで、この学校の理事長の養子。けれど常に金欠苦労人の伊吹 龍之介くんが千鶴ちゃんに話し掛けている。それを見るや否や、風紀委員の帳簿にまた何やら怪しい台詞を吐きながら書き込んでいく南雲君。
シスコンにも限度と言うものがあるだろう。
今の彼は大切な妹に近づく男を敵と見なし、抹殺を企てる危険な兄の顔をしている。
流石の私も、毎回彼の此の言動にはドン引きだ。
「南雲君ってたまにさ、怖いよね。」
千鶴ちゃんに男が絡んでこなければツンデレで可愛い良き友人であるが、重度のシスコン兼ヤンデレ要素強めであるのが玉に瑕、と言うやつである。
隣の友人がたまに付いていけない今日この頃……
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年5月29日 10時