ちょっとそこに直んなさいよ!(笑) ページ16
「こんにちは、今日はQUARTET NIGHTさんの新曲の打ち合わせをしに来ました。」
作曲家として名を上げるには、曲を作ってアイドルに歌って貰うしかない。
私が担当する彼等の元へ足を運んだにも関わらず、矢張彼等は私を認めようとしない。
私だって、やりたくてやってる訳じゃないんだけど。と半ば苛立ちながら、新曲案を脳内で作っていく。
雰囲気がそれに感化されてか、ピリピリし始める。
寿先輩も、此の静まり返った重苦しい雰囲気に思わず苦笑い。
昨日はあまり良い顔をされなかったが、今日は根気よく彼等と関わってみようと試みた。けれど、初っぱなからその根気をへし折られそうだ。
「ごめんね、後輩ちゃん。」
「いえ、私も未だ未だ無名ですし、仕方ないです。」
パッとしないのは彼等も一緒だと思ったが、下手に出るしかなかった。
只、此のまま帰るわけにもいかないため、寿先輩以外の人達の様子を暫く伺い、そのイメージに合わせて何曲か作ってみることにした。だが―――
「何あれ……」
観察していくごとに、私がどうしても許せないものに気付いてしまった。
「あの、黒崎先輩。」
ソファに寝転ぶ黒崎先輩の前へズカズカと近寄る。
「ンだよ。」
迷惑そうな表情をされても今は気にしない。否、それどころではない。
「アイメイクしてますよね?」
「嗚呼。」
「下手くそ!」
「ブハッ!」
思っていることを大声で、しかも堂々と言ってやった。そして寿先輩に勢いよく笑われた。
「ちょっと、何なんですかこれ。肌荒れますよ?」
「は?!」
私の突然の豹変に驚き、目を見開く黒崎先輩や美風先輩を余所に、私は遠慮なく彼の頬をグワシッと片手で掴む。
「このメイクの仕方! まるっきりなってない! お洒落に気を使うのも良いですけれど、これはない! 最悪! 肌荒れる!」
こっちも昨日好き勝手言われているのだ。仕返しだと言わんばかりに駄目だし食らわしてやる。なんて、私は子供っぽい持論を持ち出し言葉を続ける。
「それと、これカラコンですよね?」
てっきり、オッドアイかと思っていたのだが、昨日の音済さんの瞳を見てから、彼の瞳を見て、何やら違和感を感じた。
「へェ、よく分かったね。」
美風先輩に感心の声を上げられ、少しだけ動揺した。
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年5月29日 10時