誘惑欲張りJEWELRY 『1』 (ページ12)

今日:8 hit、昨日:11 hit、合計:208,973 hit

遠慮なく！ページ12

「え、シャイニング事務所の作曲家？」

　遥日さんと話しているうちに作曲の話となり、私がシャイニング事務所の作曲家であると言う事をポロッと口にしたら、予想外にも驚かれてしまった。

「それって、お互いの事務所の情報漏洩される可能性があるって事だよね？そこら辺は良いの？」

「ちゃんと許可取ってありますよ。後、私が此処のバイトする時に、どちらの事務所の情報も漏らさない、流さない、話さない、探らないって言う事を約束する堅苦しい書類にサインしてあるから大丈夫です。」

　名前と印鑑押せば直ぐに片付く問題であった。

「まだ高校生なんだよね？その年で作曲家デビューって凄いよね！」

　阿修さんがキラキラした瞳で此方を見る。何だか彼の純粋さに浄化されそうだ。

「いえ、まだ見習いですし、そこまで凄くないです。」

「えー、そうなんだ。」

　私がバッサリとそう言い切れば、あからさまにガッカリと肩を落とされてしまった。

「ところで、澄空さん。」

「はい？！」

　急に私に声を掛けられ、肩が軽く跳ねるほど驚く澄空さん。

　肩が跳ねたと同時に、ポニーテールもぴょこりと弾む。私はそれを目敏く自分の瞳に捉えた。

「モデルさんとしてデビューする気はありませんか？」

「ええ？！」

　澄空さんの驚愕の声が辺りに響き、皆の視線が一気に此方へと集中する。だが、私はそんな事お構い無しに、彼女の白く艶めく細い右手をそっと両手で包み込む。

「貴女なら顔も整ってるし、スタイルも良い。性格も良い反応してくれるから、トーク番組にもきっと出演出来ます！絶対白を中心とした清楚な服が着こなせて人気が出ると思うんです。」

　兎も角着飾りたい。こんな可愛い女性を放っておくなんて、私には出来ない。

「ええっと、私は此の仕事が好きなので、折角のお誘いですが……ごめんなさい。」

　控え目に断られてしまった。

「えー、つまんなーい！」

　ボフッ

　ソファに置いてあったフカフカのクッションに顔を埋める。

　シャイニング事務所の方では遠慮がちであったが、此処は伯父さんの事務所であり行き慣れた社長室、本性だして好き勝手やらせてもらっていた。

「なんか独特だよね、A。」

　それは愛染さんに言われたくなかった。