月恋 第2話 「思い立ったが吉日」 ページ3
「ツキウタ。宣伝アイドル募集中!
2014年 4月6日(日)オーディション開催!飛び入り参加可!
参加資格と会場はこちら!」
やけにテンションの高いアナウンスが私の耳に流れ、鼓膜に響き渡る。
バッと視線を参加資格と会場と書かれた方へ向ける。
年齢は11から27歳までのツキウタ。愛に溢れた女性、歌と容姿に自信がある人、とだけ書かれており、その他は特に無し。そこで私の脳内が自動的且つ高速に回りだした。
このオーディションに受かってしまえば如月 愛さんにも会えるし、1ファンとしての憧れだけで一生を終える事は無いのではないだろうか。
歌は他のクラスでは分からないが、自分のクラスの中では1番上手いと言われているし、容姿もまあまあ悪くない方だと思っている。
父さんはまあ、後々何とかするとしてオーディションは明日、これは時間がないし行くしかない。
私はコツコツ小さい頃から貯めてきたお年玉を机上に置かれた貯金箱から全て取り出し、何枚もある諭吉さんをお財布に詰め込む。そして茶色く古臭い洋服
鏡の前に行き、首元まで伸びた色素の薄い黒髪をクシでちょいちょいと解かし、気合いを入れる為に力強く両頬を叩いたらいざ出発。
またもやドタドタと、女の子らしくない足音を立てて長い廊下を走る。居間の襖を思いっきり開け、正座をしながらペットである針ネズミを頭に乗せ、お行儀良くお茶を飲んでいた父さんが唖然と此方を見上げる。
そんな父さんに―――
「如月 愛さんに会うために、東京のオーディションへ行ってきます!」
「はあッ?!」
と勢い良く告げ、驚き口と目を大きく開き硬直してしまった父さんを放置。逃げるようにして家を飛び出し、暦屋家お抱え運転手、松野さんに無理を言って車を駅まで出してもらった。
何故父さんの許可なく家を飛び出して来たのか、そんなもの言わずもがな。
私が直接交渉しても駄目だの一点張りに決まっている。父さんを説得してからなど、オーディションには間に合わないと判断した私は半分家出状態で東京に向かう事にしたのだ。
古くから家の運転手をしている松野さんは、「父親に反抗する良い機会ではないか」と協力的であった。
松野さん名義でビジネスホテルを予約してくれた為、私は心置無くオーディション会場がある東京へと向かったのである。
月恋 第3話 「好奇心旺盛」→←月恋 第1話 「2月の風に恋をせよ」 ※夢主の出身地に修正あり
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櫻餅(プロフ) - snowさん» コメント有り難う御座います。少しでも共感して頂けて、大変嬉しく思います。これからツキウタ。メンバーと関わり、夢主がどんどん成長出来るお話にしていきたいと思っておりますので最後までこのお話にお付き合い願えたら嬉しいです。応援有り難う御座います! (2017年12月21日 19時) (レス) id: 5dfdc31c69 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - こんにちわ♪最新話読みました。ちょっと、自分のことみたいにホロリとしました。ヒロインちゃんが無事に乗り越えてくれると信じてます。目標が早く見つかること、祈ってます。頑張って下さい! (2017年12月20日 14時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 櫻餅さん» 待ってます。急激に寒くなりましたので、風邪など引かないように気を付けてください。 (2017年10月7日 1時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
櫻餅(プロフ) - snowさん» ありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです!不定期更新ですが、頑張ります。 (2017年10月7日 0時) (レス) id: aab212b765 (このIDを非表示/違反報告)
snow(プロフ) - 初めまして♪楽しく拝見させて頂きました。愛ちゃんへの愛が溢れていて、素敵でした。更新、楽しみにしてます。これからも頑張って下さい!! (2017年10月6日 9時) (携帯から) (レス) id: bc61ae6263 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻餅 | 作成日時:2017年9月19日 0時