ウラオモテカノジョ～あざとい女の子はきらいですか？～【1】 (ページ25)

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少年ボイスページ25

私は声優として、声だけのお芝居をすることは好きだが表に出ることが苦手だ。だから、ラジオには久野ちゃんが出ていた番組に一回出演しただけでそれ以降の出演はなく。キャラソンを一度だけしか歌ったことがないうえに、顔出しすらもしたことがない。

私の顔が分かるとすれば、おそらく事務所のHPにある所属声優一覧のところだけだろう。

なぜなら、私が主人公のお姉さん、お母さん役といったイベントやラジオにギリギリ出演する必要のない役を演じることが多いからである。

元々は、主人公の幼少期などの少年役を演じることもあったのだが最近では、大人のお姉さんキャラが定着しつつあるためオーディションを受けるにしても、オファーが来るにしても大人の女性の役ばかりなのである。

「え、ヒロインの弟役？！」

そんな中、今話題沸騰中のライトノベル「訳ありな僕らの恋愛事情」がアニメ化するということで、そのアニメに出てくるヒロインのお姉さん役を受けたばかりだった私にまさかの弟役でオファーが来た。

オーディションを受けた役とはまた違う役で合格する、ということはそう珍しいことではないためその点については驚きはしなかったのだが、まさか、男の子役が此方に回ってくるとは予想外だった。

この「訳ありな僕らの恋愛事情」は、タイトルの通り色々と訳ありなダメンズたちがヒロインをバッチバチに取り合う逆ハー恋愛ストーリーである。しかも今回、私にオファーが来たヒロインの弟も物語の主要人物の一人だ。

姉であるヒロインに想いを寄せるヤンデレ男子、山井麗。

普段は家族や学校の人たちからの信頼も厚い文武両道、品行方正な優等生なのだが姉への執着心は人一倍あり、彼女に近づく男どもは絶対に許さないようなヤバいやつ。

原作を読んでみたのだが、かなり狂っていた。もう、ガチのヤンデレ具合に若干引くレベルで。

え、これ、まじで私がやるの？！という意味を含めた視線をマネージャーの最上さんに向けるも、良い笑顔でサムズアップをされて終わってしまった。

待って、私を見捨てないで？！