仮面夫婦

2017年4月29日　中原中也誕生日記念特別篇 ページ15

「ぐー………………」

「え、ちょ、一寸、中也さーん?」

　私の肩にかぶりついて、其のまま直ぐ動かなくなったと思うと、中原さんはすよすよと気持ち良さそうな寝息を立て、眠ってしまっていた。

「全くどうするんですか、此れ。」

　私に寄りかかって眠り続ける中原さんに、彼の行動に驚かされ、ついうっかり腰が抜けてしまった私。

　自室に行く前に、一歩たりとも動くことが出来ない。

「…………誕生日、1日過ぎちゃいましたが、おめでとうございます、中原さん。」

　お酒によって体温が高くなった中原さんを、恐る恐る、そして遠慮がちに抱き締めてそう呟いた。

　ま、ケーキは明日でいっか。

思いがけぬ出来事と、中原さんの新たな１面が見れたので、私は満足である。

　次の日、中原さんはちゃんとケーキは食べてくれたし、意外にも喜んでもらえた。







それと――――

「え、覚えてないんですか、昨日の事?」

「あ?何の事だ?」

どうやら中原さんは酒を飲んで酔うと、自分が何をしでかしたか翌日記憶が吹っ飛ぶ傾向(タイプ)の人だった様だ。

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