【w.r.w.r.d】甘々【短編集】

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・mn「お疲れやな。疲れた時には甘いものめう〜｣
もう誰も残って居ないであろうといった油断から疲れた、と大きな溜息をつき、休憩も兼ねて少しの間ぼーっとしていれば、いつの間にか隣に居た彼に目を瞬かせます。上司である彼の前で情けない態度を見せてはいけないと姿勢を正せば「そんな緊張せんでええのに。」と可笑しそうに笑みを浮かべ、高級そうなチョコを渡します。貴女が大丈夫だと遠慮をしていれば、今度は悪戯そうな微笑みを見せ、「あーん。」と貴女の口元までチョコを持っていきます。羞恥から顔を赤くし戸惑いながらも口に含めば、美味しいか、と聞くように彼は小首を傾げます。目を輝かせ何度も頷く貴女に笑みを深めれば「あと、もうちょっと頑張るめう！」と手伝ってくれます。

・ut「Aちゃんは頑張り屋さんやなぁ。」
終業ギリギリで上司から仕事を頼まれ、断りきれず資料作成をしていた貴女。後ろから彼に声を掛けられれば、貴女は邪魔しないで、とむっと眉を顰めます。それを見れば彼は「Aちゃん、ﾁｭﾒﾀｲ....。」とわざとらしく悲しい顔をしながら貴女の隣に座ってきます。貴女は直ぐに彼から目を離せば、またPCへと目線を向け仕事に戻ります。早く終わらせようと集中してするもそれでも、1時間近く掛かってしまいました。やっと終わり顔を上げれば、ずっと貴女を見つめていた彼に気付きます。まだ居たのかと驚いている貴女を他所に「終わった？ほな、帰ろうか。」と手を繋いできます。素直に手を握り返し小さな声でお礼を言えば、にへら、といつもの緩い笑みを浮かべるでしょう。

・kn「A？まだ、おったんか？」
自分以外、誰も居なくなったこのフロアに足音が聞こえてきます。誰だろうと思っていると彼もまた同様に不思議そうに近づいてきます。どうやら忘れ物を取りに来たらしい彼に同僚から仕事を頼まれたことを説明すれば「んなもん、断ればええやんけ。」と不機嫌そうな顔をします。そんな彼に苦笑をしながら仕事を進めていきます。暫くしても帰ろうとしない彼にそっと目線を向ければ真顔でガン見をされるため思わず頬を染めると「ええ表情するやんけ。」と顔を近づけてきます。慌てて目をきゅっと瞑るも何もされないためゆっくり目を開ければ、「何されると思ったんや。」とふっ、と鼻で笑われます。耳まで真っ赤に染め上げた貴女は彼を軽く叩くも彼は満足気にしている為、睨みつけました。




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