164 ページ14
.
「そうやで、大体の流れは覚えておる。けど、免状を貰うレベルやないから出来ないって言うのが正論やと思う。」
「なんで出来るん?」
「ばぁちゃんが教えてくれたん。高校で家を出てばぁちゃんに言われるまま稽古に出るためにばぁちゃんの家に泊まって。そこで覚えた感じかな。でも、ちゃんとやないからさっきも言うた通り単純な流れだけ。」
「それだけ覚えていたら凄いんちゃうの?」
「どうやろ。俺はちゃんと稽古つけてもらったことがないから凄いとかすごくないとかさっぱりやねん。単純なのしか分からへん。」
階段に座りそう口にすると叔父は隣に座って俺を見て言う。
「忠義は出来る子だと思いますけど?」
「出来へんよ。稽古も毎回父に怒られて途中で匙投げられたから。」
「それって……できちゃうからじゃない?」
「俺が?ないない。」
「一緒に稽古していたのは?」
「妹ですけど。」
「妹さんより先に進むのがダメだったんですかね?」
「どうやろ。でも、俺は必要ないからこっちに来る話が出ても反対したのは弁護士さんだけって言うお粗末な話しかないんやで俺。」
「そうなんです?」
「俺はそう言われた。」
「父には結構揉めたと教えてもらいましたよ。」
「どっちが正解なんだか。」
苦笑いして言う言葉
どっちでもいいと思う。
向こうとはすでに関係は消えたのはほんまやし、今は……花の方を覚えるので精いっぱいだと言うの
が本音。活ける事はなくても単純な事、言葉位は分からんとマジに居心地が悪化する。
「花瓶に花をぶっさして終わりにしてもええ?」
「それはダメですよ。花の声を聞き、活ける場所の空気、仏様の顔を見て。」
「そんなに難しい事を言わんでや。」
なんて言うと叔父は笑って言う。
「難しくないですから。忠義なら分かるはず。」
そんな買いかぶらんでええのに。なんて思うけど、叔父はいたって普通にこちらを見てから庭に視線を向けて考え始めた。
置かれた花と花瓶
手に取った松
これをどうしたらいいのかさっぱり。
空気?
声?
全く分からへん。
分かる事は、救いを願っても救いはそう簡単にはくれないと言う事だけ。
松を見て、仏様を見て
そんな事を繰り返していた。
50人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瀬奈(プロフ) - うずら様 コメントありがとうございます。嬉しい言葉です。中だるみするかな?そう思いながら日々更新しています。これからも宜しくお願い致します (2022年12月2日 16時) (レス) id: e0d9c8d2ca (このIDを非表示/違反報告)
(名前)うずら(プロフ) - 毎日更新ありがとうございます。わくわくが止まりません。 (2022年12月1日 17時) (レス) @page42 id: 916cc9618b (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - ショーン様 コメントありがとうございます。楽しんでいただけて嬉しいです。まだ続きそうなのですが、これからもお付き合いくださいませ。 (2022年12月1日 15時) (レス) id: e0d9c8d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ショーン(プロフ) - いつも楽しみにしています。話の展開がワクワクしてきました。これからもよろしくお願いします。 (2022年11月30日 19時) (レス) @page41 id: 849d9c80b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:瀬奈 | 作成日時:2022年10月24日 16時