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「さぶっ。」
裏手は正面に比べて自然いっぱいの場所で冷えがものすごく強い気がする。
氏子のおっちゃん達はパイプ椅子に座って世間話をしながら暖を取っていて、俺らも少し離れた場所で同じように暖を取りながら時間を過ごす。一応、人が来たらここは通れませんよ。って、案内するだけなんやけど。
緩い警備って凄い。
「店は休みやったん?」
急にそんな言葉を言われて俺は頷いてからこっそり隠れて電子タバコを吸う。
「働きすぎて休みにさせられた。」
「そんなに稼いだんか?」
「珍しく頑張ったから休み。」
「ヒナにバレて呼び出された?」
「正解。」
なんて笑ってから息を吐き出す。白い息と紫煙が混じっていくのを黙って見ている人は眼鏡でいつもと違う感じ。
「横山くんも忙しかったんちゃうの?」
「ぼちぼち。忙しいのは職人さんや店員さんや。」
なんて言う姿は完全に社長だなって思う。氏子のおじちゃん達も話しながら1時間の警備は寒さとの戦いだけど、大きめの一斗缶で作られた暖を取るものがあってそれがあるだけ違うって感じる。
「大倉は……」
横山くんは小さい声で俺を見て言う言葉はあの日に聞こうか迷っていて言えなかったのをここで投げかけてくる。
「最後は見送れたん?」
「いや……病室に来ること禁止されたん。」
「え……」
「葬式もね。」
「なんで?」
「言うたやん。」
敢えて同じことを言わないのは人がいるのもあったりするし、口にしたくもない感情が増していく。
横山くんも俺がそれだけしか言わなかった事で察してどうしたらいいか分からばい表情になっていく。
「祖父も祖母も許してはくれなかったから。母が機転を利かせて火葬場で対面は出来たけど。」
色々な意味で勘当を食らった以上葬儀すら参加出来ない事で俺はあの家から排除されたと周りは悟っていく。母はそんな俺に対して罪滅ぼしのように火葬場で数分の対面をさせる事で終わらせようとしたんかもしれんけど。
「ごめん、話したくなかったよな。」
なんて言われ俺は小さく笑ってから素直に言う。
「気にしなくて大丈夫やで。」
なんて言うた時やった。スマホが振動してポケットから取り出し画面を見ると俺は眉間に皺を寄せた。
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瀬奈(プロフ) - うずら様 コメントありがとうございます。動き出しました。やっと、ここからどう動いて行くのが4でもよろしくお願いいたします。 (2022年10月23日 22時) (レス) id: e0d9c8d2ca (このIDを非表示/違反報告)
(名前)うずら(プロフ) - わわわわ💦動き出しましたね。本当に楽しみです。 (2022年10月22日 10時) (レス) @page50 id: 916cc9618b (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - うずら様 コメントありがとうございます。ゆっくりですが楽しんでいただけたら幸いです。 (2022年8月4日 14時) (レス) id: e0d9c8d2ca (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。泣顔頂きました! (2022年8月4日 14時) (レス) id: e0d9c8d2ca (このIDを非表示/違反報告)
(名前)うずら(プロフ) - 彼はどこに?続きが楽しみです。 (2022年8月3日 17時) (レス) @page7 id: 916cc9618b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬奈 | 作成日時:2022年7月19日 16時