My landscape-5

245 ページ45

.


誰だって一線を踏み外すチャンスなんてあるねん。



行動をしないだけであって、行動をした木村先生はアウト。




搾取できる人がいないから作品は生まれない。



いつから……先生は変わってしまったんや？




そんな疑問を感じてしまう。




俺が知る限り、忠義と会う前までは……なのかもしれん。










.

「僕は反対なのに。」





むっとした口調で言う章大の言葉はまぁ、分からなくんもない。



あの話を聞いて送り出す事、最初は出来へんかった。



でも、彼は懺悔してきたと言う事実もある。




彼は忠義を愛していると言う側面を見せて来た。





「人を好きすぎるとこう……とんでもない行動をとるんやな。」






俺の言葉に章大は「あかんことやで？」なんてずっと言い続けていたけど、俺らが口を出す関係ではない。




「でもな、俺らは何も言えへん。彼が愛していると言う事実とそれを受け入れるのは忠義だけなんやで？」




「そうやけど。」




不満な表情になってしまうのは仕方ない。この歪んだ関係を維持したいんだから。





章大も俺も忠義が必要だ。






でも、それは体ではなく精神面。









忠義と言う存在がいるだけでお互いがいい距離感で過ごせる。





.



我儘な関係を求め取ると思う。





良い距離感でいたのに彼が現れた。





忠義が求めている彼が存在して俺らの関係が崩れてしまう事が怖い。
それも俺は同じや。




「侯隆に話してもええ？」



忠義は小さく笑って俺のベッドに寝そべって言う。



「使いもんにならない俺のがあの人で反応したってどういうこと？」






疑問を抱くには間違いない。ずっと反応しなかったのを俺も見ているし、章大も見ている。何をしても反応しないソレを見ているからその言葉はほんまに衝撃やった。彼を愛しているからそう言う反応をしたんやって事だと思うん。





俺はそれを認めたくないから言うたん……




「忠義と同じ気まぐれちゃうの？」




気まぐれで反応するわけないやん。



最後までできたのか？色々聞きたいんやけどそれは忠義には申し訳ないから言えへん。



「この先……丸山と会うん？」




俺の言葉に忠義は悩みながら「分からへん。」そう言う。




行かないで。



言うのは簡単だけど、俺はその権利はない。



ただこの居心地のいい関係を壊したくはない。



我儘で不器用な関係だとつくづく感じてしまう。




.

246→←244

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す