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「あのおっさんに大倉を指名するように話をしたの、丸山さんですよね。」
どこまで知っている?
そんな感情がこみ上げたのは安田さんの表情を見た時かもしれへん。
「なにを?」
「知らないと思っているかもしれんけど、あのおっさんも色々な事で大変みたいで横山が突っついたら話したんよ。あの当時の事を。」
大きくため息をしたのは僕の方で「そうですか。」と、素直に言うと安田さんは怪訝そうな表情に変わる。
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「たしかに、写真の方は大倉さんで……そう木村先生にお願いして指名するように依頼したのは間違いないです。でも、それはおかしい事ですか?」
「おかしくないですね。」
「そうですよね?当時は好きな人と仕事を一緒にしたいと思う。これは間違いですかね?」
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間違っていない言葉を僕は選び言うけど、安田さんの表情は……納得していないとすぐに読み取れる。僕は間違った行動をしていないのになんでそんな表情をされなきゃあかんねん?
そんな思いが生まれた時やった。
「大倉はあのおっさんに負い目があった。おっさんが自分の株を上げるためなら膨大に撮影したデータを奪う事も把握済だったんちゃいます?」
「安田さんは探偵さんか何か?」
僕の言葉に安田さんは舌打ちをしてから言うたん。
「違いますけど。」
完全にむっとした口調で言い返されて、感情のコントロールが下手だな。
なんて冷めた気持ちを思った時やった。
「お節介な友人なだけです。」
思わず鼻で笑ってしまうと安田さんは付け加えるように僕に言うた。
「友人だけど、大倉は横山の恋人でもあります。」
何を言っているん?
パートナーは安田さんでなんで大倉さんが?
僕の中で疑問が増えていく。
安田さんはポケットから指輪を取り出して右手に嵌めてから言う。
「もうええよな、優しい言葉で言う必要ないしはっきりさせた方がええと思うん。そう思わん?」
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誰かに言うような口調で言い左側を見て軽く首を動かす。僕もつられて視線を向けると……そこには、横山さんがこちらを見ていた。
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瀬奈(プロフ) - うずら様 コメントありがとうございます。無事に終わりました・・・一安心です。これからもよろしくお願いいたします。 (2022年3月25日 15時) (レス) id: 070125caaa (このIDを非表示/違反報告)
(名前)うずら(プロフ) - 完結本当にお疲れ様でした。素敵な世界でした。ありがとうございました。 (2022年3月24日 12時) (レス) @page48 id: 916cc9618b (このIDを非表示/違反報告)
瀬奈(プロフ) - kkoyanagi様 コメントありがとうございます。聖書やスゥエーデン語は確かに分かりにくいですね、すいません。書いていてこれは許される?そんな愛でした。ライトな話が重くなりましたが、終わりにできてよかったです。次回もまたよろしくお願い致します。 (2022年3月23日 9時) (レス) id: e0b2c0462c (このIDを非表示/違反報告)
kkoyanagi(プロフ) - 完結お疲れ様でした。正直、旧約聖書やスウェーデン語はよく分かりませんが。愛するが故に…愛するがため…その人を奪い尽くしてしまいたい…。いいですねぇ〜一息ついたらまた倉丸のお話書いてくれたら嬉しいです。ありがとうございました。 (2022年3月22日 15時) (レス) @page48 id: 46c9530258 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬奈 | 作成日時:2022年2月12日 17時