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「そりゃ、大倉の彼女立候補したいから。」



「俺は頼んでへんし。」



「向こうはなりたいんだって、彼女に。」






結局1時間で終わらんくて、30分超過の18時半過ぎはロッカーには来たわけで。たまたま一緒になったキタミツとそんな話が始まる。







「彼女と別れてどれくらい経過?」






スマホをポケットに入れてから仕事で使うペン等をロッカーに置いていく。






「3年?」





「じゃあ、そろそろ?」





「いい子がいたら。」





「大倉のその答え方がみんなにチャンスを与えているんだって。」






「俺は与えてないから。」






「その気になっちゃうんだって、女の子だもん。メモの子って1期下の子?」






そもそも、なんでキタミツが女の子の気持ち代弁しているん?ネックストラップを外しカバンに入れた時だった。高層階の人たちもロッカー室に来て結構な人になっていく。同期で高層階におる子はほんの一握りで大変やなって毎回思うん。俺は高層フロアよりこうして支店で経験詰んでいくのが好きなんやけどね。






「飯は?」





「食って帰る。」





「今日はカレーって気分。」





「俺、牛丼。」





「いつもの店しかないってやつ?」





キタミツの言葉に行く場所が週3通う牛丼屋に決まっていく。






「お疲れさまでした。」






そう声をかけロッカー室を出た時やった。







「大倉!北山!」







聞こえた声は少し先のロッカー室から出てきた人で俺は振り向いて相手を見た。





「もう少しかわいい言い方出来へんの?」




「かわいい言い方しているけど?」





「大倉って言い方きつい。そう思わん、キタミツ。」





「微妙に思う。」





「2人仲良く帰り?」





「仲良くは余計な。帰り道同じだからそうなるんやって。有田も帰り?」





「帰りですけど。後輩と仲良くおしゃれな店に行きます。」





「悪かったな、おしゃれじゃなくて。」





「北山と二人で行く店って牛丼屋かラーメン屋がメインじゃない?」




「節約。」


「どこが?」







同期でこんな話が出来る女子なんてコイツくらいしかおらん気がする。ほかの女子はほんまに……恐ろしくて話せへん。






「有田先輩遅く……」







女子専用のロッカー室から出てきた子を見て「あぁっ!」なんて声を出すとキタミツのカバンが見事に俺の腹に直撃。むっちゃ痛い、やばいくらい痛い。





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作者名:瀬奈 | 作成日時:2021年1月18日 20時

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